
そもそもエビデンスとは何か?
エビデンス(evidence)とは「根拠」や「証拠」の事を指しており、「エビデンス」がないと言うのは、その行動自体に何の根拠もないと言うことになります。
大した証拠もないのに間違った医療を行うことがあるのか?
これは「バイアス」と言うものが原因です。
バイアスは、医者や医療従事者だけが陥るものではなく、私たち一般市民にも当然なりうる心理的な思考の癖です。
それらは大きく分けて、確証バイアス(自分の都合良いデータや情報を選んでしまう)、記憶バイアス(記憶が事実とは違う物に変わってしまう)があります。
効果が無くてもある程度は、効き目がある?
実は、効果がない治療にも多少の治療効果があったりします。有名な「プラセボ効果」と呼ばれる治療への期待や症状回復の期待により、効き目が出てしまうことを指します。
しかし、それは真の効果(治療の本来の効果)ではないので、それ以上良くなる保証は全くありません。
実際に担当の医師に聞いてみましょう
どれほどの世界的な権威のある人間でも、根拠や証拠のない「個人的な主観」で医療判断をしている事があります。
その場合、自分(私)が受けている治療は本当に効果があるのかどうか疑問に思ったら、担当の医師に聞いてみましょう。
医師が「大丈夫ですよ○○のデータを基にしているのでエビデンスがあります!」と言ったら安心しても良いでしょう。
しかし、何となく話を濁されたら、それは怪しいので自力で調べて見ることも検討すべきです。
まずは、エビデンスを調べる際の注意点知ろう
この三つを注意しよう
- 専門家の単なる意見
- 事例研究
- 観察研究
専門家の単なる意見
これは証拠やデータを基づかない意見「私の長年の勘では、この病気にはこの治療が最適なんだ!」を指します。
当然長い間、医療に従事してきた経験は非常に役に立ちますが、それが逆に冷静な判断を曇らせてしまいます。
事例研究
これは、例えば「この薬Xは、Yさんに効果があった。だから薬Xは同じような症状の人間全員に当てはまるんだ!」といったものです。
いくら一人に劇的な効果があったからと言って、それを一般化(特定の人だけでなく、様々な人に適する)してしまうのは無理があります。
観察研究
- ケース・コントロール研究
- コホート研究
これらは、現在の状態から見て「過去」や「未来」の因果関係を調べる研究です。
この後、紹介する本の例を使ってみますが「血圧が高い人ほど、年収が高かった」という相関性があったとしても、今から塩分を大量に摂取するのかと言えばしないですよね。
これは第三の要因である「年齢」が関わっています。このように、いくら二つの事柄に相関性があっても、そこには第三の要因が隠れているかもしれないので、参考になりません。
参考にすべき研究
- メタアナリシス(メタ分析)・系統的レビュー・ランダム化比較試験(RCT) ・準ランダム化比較試験
メタ分析(系統的レビュー)
まず科学的にもっとも信頼レベルが高いのが「系統的レビュー(メタ分析)」
過去に行われたRCTのデータを大量に集めて実験のデザインをチェックし、そのうえで信頼できない研究を排除。まともなデータだけを分析して、大きな結論を出すわけです。
そもそも信頼度が高いRCTのデータをさらに精査するため、科学的な信頼レベルは最も高いです。
ランダム化比較試験とは?
研究の参加者をランダムに二つの群に振り分けて、片方には介入(治療など)を行い、もう片方には何もしないか別のアプローチを施して、二つの群の変化を比較する試験です。海外ではこの実験が主体です。
メリットは
・内的妥当性(介入と症状の変化を推論できること)
・高い外的妥当性(エビデンスの一般化を指す)
・高い交絡(介入以外の第三の要因が症状の変化に影響を与えること)が少ない
個々の言葉の詳しい説明は省きますが、上記の事がメリットとなります。
もちろん、100%では無いので「絶対信用できるのか?」と問われたら難しいですが、先に説明した研究よりはエビデンスの質が高いです。
実際に調べて見よう!
- コクラン共同計画
- キャンベル共同計画
- PsycINFO
これらのサイトは比較的アカウント登録をしなくても、全文は見れないですが、ある程度の内容を理解出来ます。
また有名な海外の論文サイトなので「英語」で書かれています。しかし、Googleで翻訳機能を使えば結構読めるのでお勧めです!
何故、日本の論文ではないのか?
勿論、日本の大学や研究者が書いた論文でも十分いいのですが、海外は規模が違います。
そして何より、日本の論文より内容が豊富だったりします。
しかし、究極的には「自分が受けている治療には効果があるのか」が大切なので、調べられる範囲を広げる意味で海外の論文を見るは是非とも行って頂きたいと思っています。
必ずしもエビデンスが無ければ、行けないわけではない
そして、最後に言いたいのは科学的根拠がある「治療」や「薬」は望ましいですが、だからと言って「これには、エビデンスが無いから駄目だ!」というのは間違っています。
科学的な証拠が立証されてはいないが「何故か効果がある」治療も存在します。あまりに科学至上主義過ぎて、逆にバイアスに支配されてしまっては元も子もないです。