成功へ繋がる仕事着選び:科学的アプローチでパフォーマンスを高める方法

仕事着はもはや単なる服ではありません。

 それはあなたがどれだけ成功を収めるかに直結する、真のパフォーマンスの発揮装置です。

 この記事では、どのようにスタイリッシュに科学を纏うかに焦点を当て、仕事着の選び方や組み合わせ方に隠れた成功の秘訣を解き明かしていきます。

 あなたも科学的なアプローチで仕事着をマスターし、成功への道を切り拓いてみませんか?

 さっそくその手がかりを見ていきましょう。

仕事のパフォーマンスを上げるファッションとは?

 これから紹介する研究の結論を先に述べると、普段より良い服装をしている人は自尊心が強く、仕事の成績も良くなる可能性があるということです

 ファッションと能力の知覚に関する話ではウェストチェスター大学などの研究を行い、研究チームは、アメリカで2件の実験を、韓国で1件のフィールド調査を実施しました。

 それぞれの実験内容は以下の通りです。

  •  1つ目の実験ではアメリカで行われ、参加者にさまざまな服装の写真を見てもらい、それぞれが一般的な会社のオフィスでどのような印象を与えると思うかを答えてもらう。
  •  2つ目の実験では、参加者に「美しさが印象的なファッション」・「会社の企業風土に適したファッション」・「ユニークさが印象的なファッション」のいずれかを選んで、実際に着用してみるように指示しました。その上で、「服装が自由でビジネスカジュアルなファッションの社員が多い会社で働いているところを想像してください」と伝え、3パターンの服装ごとに、その会社に出勤したら、自分自身をどう感じるかなどを答えてもらう。
  •  韓国で行われた3つ目の実験では、服装が自由な会社で働く従業員84人を対象にフィールド実験を実施。みんなに毎日アンケートに答えてもらい、その日のファッション、自信のレベル、会社の同僚とどれだけのコミニケーションをとったか、仕事の生産性には変化があったかなどを尋ねる。

 様々なファッションを試すことで、その日の自尊心や、仕事のはかどり方に違いが出るのかを確かめたわけですね。

 その結果は以下の通りになりました。

  • 多くの人は、美しいファッションを自分の魅力と結びつけ、同じように会社の風土に適したファッションに合ったファッションを帰属意識に、ユニークなファッションを個性と関係させ、そのおかげで以上3つのファッションを着た人たちは、すべて自尊心が高まった。
  • また、美しいファッションとユニークなファッションはどちらも同じぐらい自尊心を高め、それにより仕事のパフォーマンスが上がり、目標の達成レベルも上がり、同僚とのコミュニケーションも量を増やした。
  • 一方で、企業に適したファッションにも自尊心を高める効果があったが、それは同僚と頻繁にコミュニケーションをとった日だけに限られた。

 つまりファッションの選択によって自己評価が影響を受け、美しい服装は「個人の魅力」を、環境に合った服装は「帰属意識」を、ユニークな服装は「個性の感覚」を強め、最終的に生産性やコミュニケーションのパフォーマンスにも影響を及ぼすらしいです。

 研究チームは以下のようなことを述べています。

朝、いつもより少し余分に時間を取って、美しく、ユニークな服装を準備してみよう。また、他者とのコミュニケーションする機会が多いと予想される場合には、会社の規範に合致した服装を選んで見ると、あなたが自分自身に抱く意識が変わり、そのような認識の変化は、一日を通して生産性に大きな影響を与える。

 ちなみに、この研究のデータを見てみると、ファッションの変化が生産性に与える影響のレベルは、メリットまたはデメリットと同じぐらいかそれ以上だったそうです。

  • その日の朝に、今日行うタスクの計画を立てたかどうか。
  • その日に、誰かから失礼な発言をされたり、嫌なことをされたかどうか。
  • パワハラをしてくる上司がいるかどうか。
  • 朝のルーチンが乱れるかどうか。

 これらの知見を生活に活かすのであれば、朝のファッション選択を意識的に行うことがやはり重要です。

 その際は、自分のことを個性的な人間だと思うなら、いつもよりちょっとだけ個性的なファッションを選ぶ。

 自分のことを同僚よりも美男美女だと思うなら、いつもよりちょっとだけ美しいファッションを選ぶ。

 他の人と交流してタスクを進めなければならない日には、 自分が属するコミュニティの規範に合ったファッションを選ぶ感じで活用すると、仕事のパフォーマンスが上がるかもしれません。

心理学的に「かっこいいファッション」とは?

 ノースカロライナ大学の実験で、239人の男女を対象(平均年齢は35歳)に、30種類の色合いの組み合わせから「一番かっこいい」と思われるものを選んでもらいました。

 実験の内容は男女それぞれに30種類の違う色を組み合わせたファッションを見せて、それぞれの色の組み合わせについて、「どれが最もオシャレに見えるか?」を採点してもらうというものです。

 とりあえず今回は、色彩の組み合わせによってオシャレ度がどれぐらい変化するかをみたらしい。

 この実験から分かることは、色合いが同じすぎても違いすぎてもダサくなるというです。

 たとえば、灰色がかった緑(Muted green)に灰色を合わせると「オシャレ!」と評価されるのに対し、黒にダークグレイの組み合わせは評価が下がり、ライムグリーンとピンクの組み合わせも同じようにダサいと思われる感じ。

 つまりは、シンプルと複雑さの間を取るのが一番らしいです。

 さらに研究者は以下のように述べています。

服の色合いを合わせれば、間違いなくファッショナブルに見える、しかし、それには上限がある。

いったん全ての色彩が統一されすぎてしまうか、または身につけたアイテムの色がまったく同じだった場合、ファッショナブルさは急激に低下して行く。

 こういった現象が起きる理由として、この論文では「ゴルディロックスの原理」を引き合いに出しております。

ゴルディロックスの原理は、あらゆる場面に見られる現象だ。生まれたての幼児ですら、シンプルすぎる色合いは嫌うし、逆に複雑すぎる色合いも避ける傾向がある。最適な心理状態は、シンプルと複雑のバランスのほどよいバランスによって成り立つのだ。

 シンプルすぎるものに注意のリソースを割り当てる意味はないし、あまりにも複雑すぎれば脳の負荷が高すぎて疲れを感じるのも進化のプロセスで備わった適応の可能性は考えられますね。

能力の高さは「ファッション」に左右されてる

 今回の研究は「第一印象の科学」で有名なアレクサンダー・トドロフ博士であり、「見た目研究」の第一人者の方です。

 9つの実験で構成された論文で、その内容はいろんな服装をした人たちの画像50枚を用意して、参加者に画像を見てもらい、どの人の能力が高いと思うかを採点してもらうというものです。

 実際に研究で使われた画像は、同じ人が「金持ちそうな服」と「貧相な服」の両方を着ている場合、「どっちが能力が高いと思われるのか?」をチェックしたようです。

 どんな傾向が見られたかと言いますと、裕福そうな服を着ている人の方が、ビックリするぐらい「優秀だ」と判断されやすかったそうです。

 なぜか多くの人たちは、他人の服を見てから10分の1秒で相手の能力を自動的に判断しました。

 調査を行た研究チームは以下のように述べています。

過去の研究では、人間が他人の裕福さや貧しさにとても敏感な生き物である事実が示されている。今回の研究では、「能力」のような特性を判断するときにも、私たちは他人の裕福さを指標として使うことがわかった。このような傾向を無視するのは不可能とまでは言わないが、とても難しい。

 そもそも人類は「こいつは金持ちか?貧乏か?」を反射的にジャッジする性向があり、それが他人の能力の判断にもつながるそうです。

 確かに、瞬時に相手の裕福度を見抜いたほうが生存には有利でしょうから、こういったメカニズムが脳に内蔵されててもおかしくはないです。

 さらに、残りの実験ではどんなことがわかったかと言いますと、事前に「この写真の人は裕福です」と伝えても、参加者はファッションで能力を判断し続け、まったく同じ人が服を変えた場合でも、ファッションで能力を判断し続けたそうです。

 事前に「見た目と能力は関係ない」と伝えても、バイアスを取り除くことはできなかったようです。

 さらに研究チームは以下のようなことを述べています。

貧しい生活をしている人々は、社会から無視や軽視されやすい。今回の結果によれば、このような軽視の感情は、最初にその人を見てから最初の10分の1で発生する。もちろんこのような判断には根拠がないが、同じ人間が貧しい服を着た場合でも、私たちはその人を能力が低いと判断してしまう。

 また研究チームはこうも言っています。

 バイアスの存在を知ることは、多くの場合、克服のための最初の一歩となる。暫定的な解決策としては、可能な限り「他人を見た目で判断する場面を避ける」のも手だ。一部の学生をひいきしないように名前を伏せて採点するのと同じように、面接官や雇用者なども、可能であれば紙の上だけで能力を評価するのもいいだろう。実際のところ、アカデミズムの世界でも、面接をせずに採用を判断した方が優れた学者を選べることがよく知られてきた。

 結局のところバイアスの克服はあきらめて「その人を見ずに選ぶ」というのは意外に効果的らしいようです。

スーツを着ると創造性が上がり、男性ホルモンも増加する?

 カリフォルニア大の実験では、スーツが人間の認知にあたえる影響を調べたもの。具体的には約60名の学生をスーツと普段着のグループにわけ、認知テストを受けてもらいました。

 すると、スーツを着た学生は抽象思考のレベルが高くなり、ついでに自尊心もアップしたそうです。

 ちなみに抽象思考は、その名のとおり大まかなイメージで物事をとらえる考え方のこと。

たとえば、以下のようなものが分かりやすいと思います。

  • 完成した料理の香りや味をざっくり想像する=抽象思考
  • 作りたい料理に材料や手順を細かくイメージ=具体思考

 どちらの思考法も重要ですが、抽象思考には創造性アップの効果がありまして、良いアイデアが欲しいときなんかは抽象化のほうが大事こともあります。

 また調査を行った研究者は「フォーマルな衣装はパワフルな気分を高めてくれる。そのおかげで、世界に対する見方も変わるのだ。」と述べています。

 さらに続けて、抽象思考には仕事のストレスを減らす効果もあるそうです。

もし職場で厳しい指摘をされても、その言葉を抽象的に受け止められれば自尊心には影響しない。しかし、厳しい言葉を具体思考でとらえてしまうと、自尊心が傷ついてしまう可能性が高いだろう。厳しい批判は内容を大まかにとらえて、要点だけを活かすようにしたほうが傷つかずに済む。

 ちなみに、この論文では、他にもファッションと認知の変化について調べた研究がいくつか引用されています。

たとえば、以下のような研究が挙げられます。

  • スーツを着た人は、スウェットを着た人よりも金の交渉がうまくなる。また、スーツを着たほうが男性ホルモンのレベルも高い(2014年)
  • 白衣を着た人は、カジュアルな服を着た人よりも注意力が高くなった(2012年)
    赤いジャージを着たアスリートは、青いジャージを着たアスリートよりも運動能力が高くなった(2013年)

「オシャレと化粧は女の戦闘服」は本当か?問題

 「オシャレと化粧は女の戦闘服」などと申しますが、ニューサウスウェールズ大学などの研究では、「ファッションや化粧は女性の心にどんな影響を与えるか?」というポイントを実際に調べました。

 どんなデザインの実験だったかと言いますと、158人の女性を2つのグループに割り当ててます。

 そして以下のポイントをチェックしました。

  • 自分が好きな服、靴、宝石、化粧品、アクセサリーなどを実験室に持ち込む
  • 自宅でリラックスしたいときに着るようなゆるい服を実験室に持ち込む
  • その上で、それぞれのグループが持ち込んだ衣装を身につけてもらい、
  • 自己主張のレベル
  • 幸福感
  • 自分への好意レベル

 両グループには差が出まして、好きな衣装を身につけた女性は、自分自身をより好意的に見ることき、自己主張のレベルも高かったという結果になりました。

ちなみに、この実験での自己主張の定義は状況にどう対応するかで判断してます。

  • 欠陥がある靴を返品するために靴屋にクレームをつけるかどうか
  • ヘアサロンに電話して、不明確な支払いなについて説明を求められるかどうか
  • 車の整備士から届いた請求書に異議を唱えられるか

 日常のトラブルにも、明確な意志をもって処理できるかどうかを調べたようです。

 ファッションによって気分が変わるのは全人類的な現象なのかもしれません。

他人に優しくされやすい服

 トレント大学の実験で、「着る服によって周囲の対応はどう変わるか?」を調べたものです。

 具体的には以下のように41人の男女に2種類の動画を見てもらいました。

  • 露出が多いドレス、ハイヒール、バッチリメイクの女性が会話してるとこ
  • ゆったりしたジャージ、ペタンコシューズ、軽いメイクの女性が会話してるとこ

 そのうえで参加者の意見を聞きつつ脳波を計測したところ、みんなリラックスした服装のほうに「共感をおぼえる」・「優しくしたくなった」と回答したそうです。

実際、リラックスした人を見たときのほうが、脳の共感エリアが活性化したという結果でした。

参考文献

・Carlotta Cogoni, Andrea Carnaghi, Giorgia Silani,Reduced empathic responses for sexually objectified women: An fMRI investigation,Cortex,Volume 99,2018,Pages 258-272,ISSN 0010-9452,https://doi.org/10.1016/j.cortex.2017.11.020.

・Joseph K. Kim, Brian C. Holtz, and Ryan M. Vogel, 2023: Wearing Your Worth at Work: The Consequences of Employees’ Daily Clothing Choices. AMJ, 66, 1411–1437, https://doi.org/10.5465/amj.2021.1358

・https://www.nature.com/articles/s41562-019-0782-4

・https://www.columbia.edu/~ms4992/Publications/2015_Slepian-Ferber-Gold-Rutchick_Clothing-Formality_SPPS.pdf

・https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0102772

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