「受験・語学・資格」試験を受ける人の科学的練習法

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既存の勉強法に「プラス」するだけ

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 長期休みや12月になると、高校・大学の受験勉強を控えていてる学生さんや、何か資格を取得したいと考えている人が増えると思います。

 かく言う私も、高校時代はアホみたいに受験勉強や資格試験を受けていました。

 また学校の特性上、いろんな資格に挑戦できたこともあってか、毎月何かしらの資格勉強を受けながら中間テストや期末テストを迎えてました。(何とか点数は取りましたが………)

 最終的に、12個の国家資格や英検などの基本までを取得して卒業した記憶があります。

 そしてこれから教える練習法、そんな忙しい高校にわたしや以上に忙しい状況のビジネスマンでも、必ず成果を出せると思います。

 もちろんこれから話す勉強法は、不躾に「君の勉強のしかたは駄目だから、こうしなさい」と言ったするわけではありません。

 そりゃ、誰しも自分のやり方にケチをつけられたら気分は良くないでしょう。

 なのでいくつか紹介する勉強方法の中から、自分にあったモノを選んで既存の勉強に取り入れて頂ければ結構です。

 一つが少し長めになってしまうかもしれませんが、ご了承を……。

 それでは、早速参りましょう。

間隔練習

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 まずは間隔練習からです。

 間隔練習とは、簡単に言えば「ある勉強をした後に一定の間隔で何回か復習する」と言うモノです。

 当たり前のように聞こえますが、実行に移せている人はかなり少ないでしょう。

 ここで間隔練習の効果を表した研究を紹介します。

 38人の外科研修医の実験です。(1)

 二つのグループに分かれて、毛細血管を接合する顕微手術について4種類の研修を受け、どちらとも授業の後に実習を行いました。

 研修医の半分は、一日で4回すべての授業を受講した。

 もう半分は、学ぶことは同じだが1週間に1種類ずつ行い、4回授業を受講した。

 最終講義から1ヵ月後に、手術時間や手際の良さ、生きたラットの大動脈再接合の成功率を見てみた。

 すると1週間に1種類ずつ4回受講したグループの方が、他のグループよりも圧倒的に優れていました。

 なぜこの様な結果になったのでしょうか?

 それは、間隔が空くことによって、前の講義内容を積極的に思い出さなければいけないからだったからです。

 まとめてやると、集中して出来るので習得したように感じますが、実際には間隔をあけて思い出した方が成果が出ています。

 脳と言うモノは忘れかけた時に思い出すことで、より学習した内容を長期記憶に繋げます。

 間隔練習によって定期的に忘れかけた記憶を呼び覚まし、それが脳でより強固な記憶として定着する。

 これが手術際に手順を忘れず行う為の重要なプロセスだったのです。

 もし普段、何気なく勉強をしてあまり復習しない人は、是非とも覚えたことを1週間~2週間おきに復習する習慣を身に着けると格段に忘れにくくなります。

 そして大体、2か月程度続ければ長期記憶に保存されるようになります。

交互練習

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 交互練習とは、簡単に言えば「複数の事を同時に学びましょう」ということです。

 例えば、数学だったら「色々な単元の内容を交互に学ぶ」といったことが考えられます。

 ある実験では、二つのグループに分かれた学生が「四つの立体体積の求め方」を学びました。(2)

 一つのグループは、立体の種類ごとに練習問題を解いた。

 別のグループは、同じ問題だが順番がバラバラだった。

 その後、すぐにテストを受けて正解率を見てみました。

  •  「立体の種類ごとに練習問題を解いた」グループの正解率は89%。
  •  「同じ問題だが順番がバラバラだった」グループ正解率は60%でした。

 しかし、一週間後の「最終のテスト」では正解率に違いが見られました。

  •  「立体の種類ごとに練習問題を解いた」グループが20%
  •  「同じ問題だが順番がバラバラだった」グループが63%

 この差は圧倒的といっても過言ではありません。一般的に1つの科目の1単元を集中的に勉強した方が「覚えられた感覚」を味わう事は可能です。

 しかし、実情は交互に色々な問題を解いた方が最終的に成果を出す可能性が高いのです。

 これは運動でも同じことが言えます。例えば、テニスでもフォアハンドばかりを練習する人と様々な振り方を練習する人では、本番での成績が異なります。

 もし今まで一つの内容を集中的に勉強していた人は、やり方を改めて見るのも良いでしょう。

ティーチング

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 ティーチングとは簡単に言えば、「自分が覚えた知識を他人に教える方法」です。

 これは私が一番採用している勉強方法で、本を読んだ後に覚えたい一文や論文を声に出したりジェスチャーを交えて復習しています。

 さらにワシントン大学でも、人に教えることを意識した方が頭に残りやすいと言っています。(3)

 一人の場合には、自問自答形式でやって行くとより行いやすいです。

 私の事例では

 「スポットライト効果についての論文はある?」

 「例えば、2000年のコーネル大学の実験があって……etc」(4)

  と言うなことを一人でやっています。(傍から見たら危ない奴かも……)

 もちろん間違えた時は、本なり論文なりを読み直してやり直せばいいだけです。

 さらに、間隔練習を使って定期的に思い出す練習をすれば、手元に本が無くてもパッと記憶の中から取り出して応答が出来るので、凄い奴だと思われるかもしれません。

判別力を身に着けよう

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 紹介した練習方法は、単に効果があると言うだけではありません。

 と言うのも、テストや受験を受ければ必ず応用問題にぶち当たる事があるともいます。

 例えば数学の応用問題などは、一つの公式だけでなく複数の公式を活用しなければいけない事も、しばし見受けられます。

 応用問題をいかにして解くか、ここが合否の分かれ目となるのは明白。

 例えば、交互練習を取り入れて勉強すると、前の単元を無視した練習問題をやらされるので「あれ、さっきまで連立方程式やっていたのに、今度は立体の面積を求めるの?」と言った状況に晒されます。

 しかし、数ある中から正しい解決方法を探し出す訓練を普段からすることで、複数の研究結果からも「判別力」がつくというデータが出ています。

 同じ問題、同じ単元、私達は特に考えも無くそれらをひたすらこなしています。

 しかし、いざ本番になると順序が逆だったり使う公式が変わったりして、判別力のなさが原因で対応できないのが現実です。

 そうならい為に、今から判別をする力を鍛えておくに越したことはありません。

 覚えてい置いて欲しいのは、「非効率で成果を出せるのは天才だけ」だという事です。

終わりに

 今回は勉強をやる際の練習方法についてお話しました。

 勉強法は数あれど、既存の勉強法にプラスで追加するアタッチメント的なモノは、余りありません。

 もちろん、勉強方法を根本的に変えないといけない人も居るだろうし、あまり変えずに適応できる人もいるでしょう。

 重要なのは、自分は今のやり方で大丈夫なのか?と疑問を持って意識的に行動することです。

 

引用・参考文献

書籍

論文

  1. C-A. E. Moulton, A. Dubrowski, H. Mac-Rae, B. Graham, E. Grob-er, & R. Reznick, Teaching surgical skills: What kind of practice makes perfect?, Annals of Surgery 244(2006), 400-409.
  2. D.  Rohrer  &  K.  Taylor, The shuffling of mathematics problems improves learning , Instructional Science 35 (2007), 481-498. 
  3. T. Gilovich, V. H. Medvec and K. Savitsky (2000).  “The Spotlight Effect in Social Judgment: An Egocentric Bias in Estimates of the Salience of One’s Own Actions and Appearance’ . Journal of Personality and Social Psychology, 78,pages 211-22.
  4. https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Flink.springer.com%2Farticle%2F10.3758%2Fs13421-014-0416-zlink.springer.com

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