性格診断で本当に適職は見つかるのか? ~科学的根拠に基づいた真実~

 就職活動や転職活動の際に、「自分の性格に合った仕事は何か?」と悩む方は多いでしょう。

 そんな時、手軽に利用できるのが「エニアグラム」や「MBTI」、「RIASEC」といった性格診断テストです。

 しかし、これらのテストは本当に適職探しに役立つのでしょうか?

今回は、それぞれのテストの信頼性や科学的根拠について詳しく解説し、本当に適職を見つけるために考慮すべきポイントを明らかにします。

エニアグラム:神秘思想が生んだ9つの性格タイプ

 「エニアグラム」は、人間を「改革する人」や「平和を好む人」など9つのタイプに分類する性格診断です。

 しかし、その起源は神秘思想にあり、結果の解釈は非常に主観的です。

 例えるならば、同じタロットカードでも占い師によって解釈が異なるように、エニアグラムの結果も解釈する人によって大きく変わってしまいます。

 学術的な研究においても、エニアグラムの信頼性には疑問符が付けられています。

 なぜなら、エニアグラムは科学的な検証に耐えうる客観的なデータに基づいていないからです。

 つまり、エニアグラムの結果はあくまで「占い」の一種であり、適職探しに役立つ科学的根拠は乏しいと言わざるを得ません。

MBTI:人気と批判が交錯する16タイプ性格診断

 「MBTI」は、世界中で広く利用されている性格診断テストであり、企業の採用活動や研修などにも活用されています。

 しかし、その人気とは裏腹に、MBTIには30年以上にわたる批判の歴史があります。

 最も大きな問題は、テストを受けるたびに結果が変わってしまうことです。

 ある研究では、被験者の約半数が5週間後に再テストを受けた際に、全く異なる性格タイプに分類されました。

 これでは、適職探しどころか、自分の性格を理解することすら難しいでしょう。

 また、MBTIの結果と仕事のパフォーマンスとの関連性を示す研究も存在しません。

 MBTIを支持する研究もありますが、その多くはMBTIを推進する団体が資金提供しており、中立性や客観性に欠けると言わざるを得ません。

RIASEC:予測力はほぼゼロ?

 「RIASEC」は、大学のキャリアカウンセリングなどで頻繁に利用される性格診断テストです。

 しかし、2011年にフロリダ州立大学が行ったメタ分析(複数の研究結果を統合し、より信頼性の高い結論を導き出す分析手法)では、RIASECの予測力はほぼゼロという衝撃的な結果が報告されました。

 RIASECは、個人の興味や価値観を6つのタイプに分類し、それぞれに適した職業を提案します。

 しかし、実際にRIASECが適職と判断した仕事に就いたとしても、その人が高いパフォーマンスを発揮できるかどうかは全く予測できないというのです。

この結果を踏まえると、RIASECは適職探しというよりは、自己理解を深めるためのツールとして活用するのが適切と言えるでしょう。

まとめ:性格診断テストはあくまで自己理解のツール

 エニアグラム、MBTI、RIASECといった性格診断テストは、自分の性格や興味、価値観などを知るためのツールとしては有効かもしれません。しかし、これらのテスト結果だけで適職を判断するのは危険です。

 本当に自分に合った仕事を見つけるためには、自分の経験やスキル、将来の目標などを総合的に考慮する必要があります。また、気になる企業や業界について積極的に情報収集を行い、実際に働くイメージを具体的に持つことも大切です。

 性格診断テストはあくまで自己理解のきっかけとして活用し、最終的な判断は自分自身で行うようにしましょう。

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