
恋愛において、男性が理想の女性をゲットするためには、何が必要なのか。
イケメンやハンサムって言うのは元も子もないので、それらの要素を抜いて考えていきたいと思います。
さらに、折角恋仲になったのに長く続くカップルと続かないカップルでは何が違うのかも見て行きたいと思います。
男は経済力が重要?

やはり男は顔だけでなく、相手を養っていく力が魅力度を高めてくるようです。
タウンゼントとレビー達が1990年に行った研究があります。(1)
まず同じ男性が二種類の異なるコスチュームを着ている状態を女性に見せ、その魅力度を評価させました。
低い社会的ステータス条件の男性は、ハンバーガーのユニフォームを着ています。高い社会的ステータスは白いドレスシャッツにデザイナーズネクタイ、ネイビーブレザー、それにロレックスの腕時計をしました。
様々な条件で魅力度を評定させたところ、結果は全ての面においても、経済力のある男性が女性から見た魅力度の高い男性として評価されました。
その他にも、2010年に行われた実験では、高級車に乗っているだけで女性から見た男性の魅力度は高いと思われました。(2)
これらの結果は特別、驚くに値するモノではありません。
どちらかと言えば、従来の定説通りにある程度の経済力は魅力度に影響しているという事実を肯定しただけです。
モテるのに欠かせないのは生活力

パドバ大学などの研究によって「モテるのに欠かせないのは資源獲得能力である」という結論がでておりました。
この「資源獲得能力」ってのは、「生活力がある」や「お金を稼ぐのがうまい」みたいな力のことで、簡単に言えば「食うに困らない能力」と言えます。
パドバ大学が行った調査(3)では、「Spark Networks Services」という出会い系サービスから大量のデータを入手し、各ユーザーがどれぐらい好意的なメッセージを獲得しているかを調べて、このデータを各自の収入や教育水準と比較しました。
すると、以下のような関係がみられました。
- 収入と学歴の合計が平均より1標準偏差大きい男性は、収入と学歴の合計が平均より1標準偏差小さい男性に比べて、255%もモテやすい。
- 所得と学歴の合計が平均より1標準偏差大きい女性は、所得と学歴の合計が平均より1標準偏差小さい女性より103%モテやすい。
所得と学歴をあわせもった人は、男性の場合は3倍以上もモテやすく、女性でも2倍近くモテやすいとの結論です。
この結論は、金があって頭がよい人がモテるってのは当然の結果を言っているにすぎないと感じます。
しかし「金も学歴もない」と考える人もいると思いますが、過去の研究を見てますと、「野心がある」「コツコツと働くことができる」といったような性格特性もモテにつながることがわかっております。
これらの特性は、どちらも資源の獲得能力につながるため、現時点でお金と学歴がないとしても、「この人は生活力があるのかも」と思わせることができるようなんですな。
現時点で持たざる者は、ここらへんの特性をアピールするのも良いのではないかと思います。
強い男はモテるのか?

強い男(筋肉がある)モテる、これもなんだかありそうな話ですね。アニメや漫画では、主人公の強さに惹かれる異性も多数見受けられますので。では実際のところはどうでしょうか?
2009年にゲゲンがこの問題を研究しました。(3)
強い男の代表として厳しいトレーニングを積んでいる消防士を取り上げました。そして男性のサクラに消防士のユニフォームを着させて街中とバーで実験をします。
通りすがった異性に対して、笑顔を向けた場合に、普通の服装と消防士の服装ではどの程度相手が笑顔を返してくれるのか回数の計測と、その笑顔の度合いを評定しました。
するとやはり、消防士の服装であった場合の方が笑顔の回数も度合いも大きかったのです。
つまり筋肉は無いよりはある方がモテることが分かります。さらには、1995年に行われた二つの研究からも、ナヨナヨしている男性は急激にモテなくなる傾向が確認されました。(4)
また魅力的な女性ほど、マッチョな男らしい男性を好むという結果もあるので、体を鍛えることには、やはり一定のメリットがあるようですね。
女性的な男性の方がモテる?
では、必ずしもマッチョや物凄く身体を鍛えている人だけが魅力度が高くなるのでしょうか?
2005年にフレデリック達は「もし女性がマッチョな男性を好むのであれば、女性雑誌の表紙を飾る男性の筋肉量は多いはず」と思い実験を行いました。(5)
評定に使ったのは「マッスル・シルエット・メジャー」という基準です。
そして、その研究の結果は、雑誌ごとの平均筋肉量を測ったところ、筋肉が一番多いのは男性用雑誌で「ボディビル」と呼ばれるような人が表紙を飾りました。
逆に、女性用雑誌では一番筋肉量が少なく、いわゆる「細マッチョ」と呼ばれる人たちが表紙を飾りました。
この結果は何となく理解できるものでしょう。
なぜなら、アイドルなどは体を鍛えていてもそれを表に出さず、ほっそりした細マッチョを演出してるからです。
ジャニーズ系でボディビルダーのような人を見かけないのも納得します。
魅力度がお互いに近いほど関係が続く?

せっかく告白して付き合ったとしても、その関係が長く続く保証はありません。では、どんな特徴を持っているカップルが関係を長く続けることが出来るのでしょうか。
メリーランド大学のホワイトは1980年に123組のカップルを集め、評価者である男女5人ずつが、その外見的魅力を1~9段階で評定しました。(6)
するとカップルの外見的魅力に関して、意外と男女ともに釣り合いがとれていました。
つまり、男性も女性も自分の外見に即した相手と付き合っているということです。
加えて、ホワイトはそのカップルを9か月間追跡調査したところ、外見が釣り合っていないカップルほど別れている確率が高かったのです。(もちろんだからと言って、美人と付き合えないとは言っていません)
ということは、俗に「美女と野獣」という関係は思ったより長くは続いていないようです。
逆に魅力度が釣り合っているカップルは関係が早く進展するという結果もあります。
1982年に結婚相手の紹介サービスを利用して、カップルの進展と釣り合いを研究しました。
すると、魅力度がお互いに近い相手ほどデートの回数が増えたりしていました。しかし、年齢の差や職業の差は関係の進展にあまり関係がありませんでした。
終わりに
どのような男の人が女性から魅力的に見え、さらにどんなカップルが長く続くのかを紹介しました。もちろん、出来る限り上を狙ってもらいたいのですが、あまりにも自分とかけ離れていると苦労も絶えません。
例えば、美人やイケメンだと自分の知らぬ間に「浮気されるじゃないか?」と心配したりすることもあるでしょう。
そうならないためにも、我々は自然に自分と釣り合った人を選択しているのかも知れませんね。
参考文献
・(1) Townsend, J. M., & Levy. G. D. (1990). Effects of potential partners’ costume and physical attractiveness on sexuality and partner selection. The Journal of Psychology, 124, 371-389.
・(2) Dunn, M. J., & Searle, R. (2010). Effect of manipulated prestige-car ownership on both sex attractiveness ratings. British Journal of Psychology, 101, 69-80.
・(3)Buss, D.M., Shackelford, T.K., Kirkpatrick, L.A. and Larsen, R.J. (2001), A Half Century of Mate Preferences: The Cultural Evolution of Values. Journal of Marriage and Family, 63: 491-503. https://doi.org/10.1111/j.1741-3737.2001.00491.x
・(4) Gueguen, N. (2009). Man’s uniform and receptivity of women to courtship request: Theree field experiments with firefighter’s uniform. European Journal of Social Sciences, 12, 235-240.
・(5) Singh, D. (1995). Female judgment of male attractiveness and desirability for relationaships: Role of waist-to-hip ratio and financial status. Journal of Personality and Social Psychology, 69, 1089-1101.
・ Henss, R. (1995). Waist-to-hip ratio and attractiveness. Replication and extension. Personality and Individual Differences, 19, 479-488.
・(6) Frederick, D. A., Fessler, D. M. T., & Haselton, M. G. (2005). Do representations of male muscularity differ in men’s and women’s magazines? Body Image, 2, 81-86.
・(7) White, G. L. (1980). Physical attractivecness and courtship progress. Journal of Personality and Social Psychology, 39, 660-668.