既に否定されてる?心理学研究5選「意志力・パワーポーズ・笑顔・出生順・繋がり」

 近年、心理学の研究が急速に進展しており、新たな知見が多数報告されています。

 その中でも、「意志力」「パワーポーズ」「笑顔」といったテーマは、昔から注目を集める一方で批判的な意見も存在しており、すでに否定されているという指摘もあります。

 本記事では、最新の研究を紹介しながら、その真偽について考えていきたいと思います。

意志力は消耗しない

 研究の世界ではセルフコントロール能力(意志力)が高く、目の前の誘惑に強い人ほど人生がうまくいきやすいというデータが多いです。

 そこでとても大事になるのは、「意志力は消耗するのか?」という点です。

 長らく「意志力は消耗する」という考え方が浸透しており、人間が使える意志力には上限があり、使うほどすり減っていくとされていました。

 またこの仮説を広めたのはロイ・バイマウスター博士で、自身の著書である『WILLPOWER 意志力の科学』において言及されました。

 さらに自己啓発書の名著であるケリー・マクゴニガルの『スタンフォードの自分を変える教室』等でも、1つのテーマとして取り上げられています。

 また「意志力の消耗」という仮説は、3000以上も引用されてきた研究であり、2010年のメタ分析でも仮説を支持する結論(d=0.62)が出ています。

 しかし近年、この「意志力は消耗する」という仮説の信憑性が揺らぐような、研究結果がいくつも発表されました。

 例えばカーティン大学が行った研究で、2141人の男女を対象に「意志力は消耗する」説を追試し行い、23の研究所で、ロイ・バウマイスター博士が推奨する手順を基に意志力は使えば使うほど減っていくかを再検証しました。

 その結果は、なんっと「効果ゼロ」だったのです。

 実験を行った全ての研究所で「意志力が消耗する現象」は、ほぼ確認されなかったのです。(d = 0.14, 95% CI [−0.02, 0.30])

 さらにマイアミ大学は「2010年に行われたメタ分析は、間違っている可能性がある」との指摘を行った以下の研究結果を発表しました。

  • このメタ分析は、都合が悪いデータを組み込んでいない(出版バイアス)
  • ちゃんとすべてのデータを組み込んで再分析すると、意志力が消耗する説を支持する証拠はなくなる

 なお、この結果についてはロイ・バイマウスター博士も反論しており、「自分のオリジナル論文の実験デザインと違う」 と発言しています。

 ただし、追試のデザインはロイ・バイマウスター博士が自ら認めてた手法を使用しているため、反論としては弱いです。

 さらに2013年の論文では『マインドセット「やればできる! 」の研究』で有名なキャロル・ドゥエック博士が実験を行い、こちらも「意志力の消耗」という仮説に物を申す内容となっております。

 ここでは以下のような3パターンの実験が行われました。

参加者(87人)に食事をガマンしてもらったうえで、全員のセルフコントロール度をチェック。

その後で、半分には砂糖入りのドリンクをわたし、残り半分に人工甘味料が入ったドリンクをわたして、脳の活動と意志力の変化をみる。

参加者の半分に「意志力は使うほどすり減っていく」と教えたうえで、上と同じ実験をくり返す。

基本的には1番めの実験と同じだが、ドリンクが「砂糖入り」か「人工甘味料入り」かを隠す。

 要するに、この実験で何を調べたかというと、以下のような点です。

  • 「意志力を使うと消耗する」って説を知らない人が、意志力を使ったらどうなるか?
  • 糖分を追加すると意志力は復活するのか?

 ドゥエック博士は、「意志力の消耗はプラシーボ効果ではないか?」と考えたようです。

 そして実験の結果はドゥエック博士の仮説通りでした。

  • 「意志力は使うと消耗する」と思っていた人は意志力が低下し、砂糖水を飲んだら復活した
  • 「意志力は使うと消耗する」と思っていない人は意志力に変化なし。糖分を飲もうが意志力に変化はなかった

 つまり「意志力を使うと減る」という説は、思い込みである可能性が出てきたわけです。

 実際、過去の実験でも2014年に「実は糖分を摂らなくても、砂糖で口をゆすぐだけでも意志力が復帰した」という報告や2015年には「血糖値と意志力は無関係」というメタ分析が出ています。

 心理学の世界では「意志力の消耗」に近い現象もキチンと確認されているため、「完全に間違っている」とは言えません。

 ただし、紹介した研究のいくつかは強い反証を含んでいるため、「意志力をどう捉えるべきか?」という問題は戻ったと考えた方が良いでしょう。

「パワーポーズ」は既に否定されている

 「パワーポーズ」とは「わざと自信がありそうな姿勢を取る」という心理テクニックで、たとえば両手を腰に当てて仁王立ちするだけで、なぜか自信がわいてくるというものです。

 これは2010年の実験で確認された現象であり、TEDの動画から有名になったネタでもあります。

 ところが、近年の追試では同じ現象が確認されず、パワーポーズの効果に疑問符が出ております。

 そんな状況下、今度はカリフォルニア大のダナ・カーニー博士が、パワーポーズを強く非難する文書を発表しました。

 というのも、カーニー博士は、『〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る』の著者であるエイミー・キャディ博士と2010年のオリジナル論文を共著した人であるからです。

 つまり、パワーポーズの生みの親自身が、パワーポーズを否定する側に回ったという形になります。

 カーニー博士が否定派になった主な理由は「統計処理が雑だった」ことが原因のようです。

 たとえば、以下のような点が問題として挙げられます。

  • 参加者に「どれだけ力強さを感じたか?」を聞く際、いろんな質問の仕方をして、もっとも効果が大きそうなものを採用した
  • パワーポーズの効果を確かめるときに参加者の量をいじったため、実態よりも統計的に有意になるようにしていた(いわゆるP値ハッキング)

 統計ミスとしてはよくあるものですが、厄介なのは論文を読んだだけじゃわからない点ですね。

 その結果、カーニー博士は以下のような結論を出しました。

わたしは「パワーポーズ」の効果を信じていない。その効果が現実にあるとも考えていないし、パワーポーズの効果を研究していない。他の人にパワーポーズの研究をするのも勧めない。もはや自分の授業でもパワーポーズを教えていない。今後はメディアでパワーポーズについて語らないし、すでにここ5年間は語っていない。

 既に「パワーポーズ」は虫の息の状態です。

 またエイミー博士の実験は2015年に追試が行われ、こちらでもパワーポーズに不利な結果が出ています。

 追試を行ったのはチューリッヒ大学の研究チームで、200名の男女を対象にしたもの。

 エイミー博士のオリジナル論文は参加者が21名だったんで、このあたりも追試のほうが有利であります。

 実験の方法はオリジナル版と同じであり、参加者にパワーポーズを取ってもらったあとで、テストステロンや態度の変化をチェックし、続いてギャンブルゲームをプレイしてもらい、自信に満ちた行動が取れるかを調べたようです。

 その結果を以下のようになりました。

  • テストステロンの増加はみられなかった
  • リスクを恐れずに行動するようにはならなかった
  • ただし、一時的に気分が改善した参加者は多かった

 パワーポーズは少しのあいだ気分がよくなるだけで、実際の行動やホルモンレベルには何の影響もないと、完全にエイミー博士の実験が否定されました。

 エイミー博士も新たな論文で33件の過去データを取り上げたうえで以下のような反論を行っております。

  • 追試ではパワーポーズの効果を事前に参加者へ説明したのが良くないのではないか?
  • パワーポーズの時間が長すぎるのではないか?

 この議論にはまだ決着がついてないものの、現時点ではエイミーさんのほうが不利な印象ではあります。

 追試のほうがサンプル数が多いため、反論で出てきた33件のデータと比較しても効果が小さすぎて「パワーポーズは有効である」という結論が出しづらいです。

 そんなわけで、パワーポーズについては、以下のように考えた方が良さそうです。

  • パワーポーズでは自信は湧かない可能性が高い
  • もともと自信がある人ほど、良い姿勢になりやすいだけ?

無理に笑顔を作っても楽しくない

 古典的な研究に「ペンを横にくわえると楽しい気分になる」という有名な心理実験があります。

 これは1988年に行われた実験で、参加者にペンをくわえてもらい、無理やり口を横に広げたままコメディ映画を見てもらいました。

 すると、口をすぼめて映画を見たときより楽しい気分になりました。

 この結果は「表情フィードバック仮説」と呼ばれまして、要するに「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しくなる」という話です。

 心理学の世界では超メジャーな実験であり、感情心理学の初級テキストにも紹介されるレベルです。

 ポジティブ心理学の本でも、「楽しい気分になりたかったら笑顔を作ろう」というTIPsのネタ元によく使われています。

 しかし、その後の追試では「同じ効果が確認されなかった」という結果が出てしまいました。

 これは世界中にある17の研究室で行われた大規模な実験で、1,894人を対象に、1988年の実験とまったく同じことをしてもらったらしい。

 昔のオリジナル実験よりもかなり人数が多いため、信頼性は高いです。

 その結果は、以下のようなことが分かりました。

  • 9つの研究室で行われた実験では、ほんのちょっとだけ気分が良くなる変化しか出なかった
  • 残りの8つの研究室では、同じ効果がなにも確認されなかった

 効果が出た研究室がほぼ半分しかなかったうえに、効果が出た場合でも非常に変化が少なかったんだ、と。

 もちろん、これは「表情フィードバック仮説が間違いである」という話ではありません。

 この説を支持するデータはいろいろありまして、たとえば「ボトックス注射で眉間のシワを消した人は、怒りの感情を感じにくくなった」という研究も確かに存在します。

 その点で、表情が感情に影響を与えるのは間違いないが、現状のデータを見る限りは、悲しいときに強引に笑顔を作っても気分が改善するほどの効果は出ない可能性があります。

 ボトックスで筋肉を麻痺させるレベルでないと、表情フィードバックには影響が出にくい可能性は大いにあり得ます。

 さらに別の論文では、「笑うと幸福になる」というテクニックが効かない人も確認されたそうです。

  これは、被験者にペンを横にくわえてもらったり、ネットの画像をみてもらう実験で、あらためて笑顔と幸福度の関係を調べました。

 すると、過去の研究と同じように、大半の人が無理やり笑顔を作っただけで幸せになれたんですが、一定数だけは逆に幸福度が低下した人がいたらしいです。

 つまり笑えば笑うほど、不幸になってしまうわけです。

 「楽しいから笑顔になる」と思っている人は作り笑顔でも幸せになれるけれど、心理学の知識を持っていると逆効果になっちゃうという皮肉な結果でもありますね。

 これは、何も知らないうちは「いま自分は笑顔だから楽しいに違いない」と脳が思い込むのに対し、知識があると「いま自分は笑顔だから、楽しくなろうとしてがんばってる」と脳が解釈するのが原因のようです。

 知識によって脳がダマされなくなくなってしまうようです。

 これが事実なら、心理学の「アズイフの原理」なども根底からくつがえるような結果になっています。

出生順で性格は変わらない

 昔から「生まれた順番で性格が変わる」という俗説がありまして、長男は責任感が強いとか、末っ子は自由人とか言われてきたわけですね。

(今、話題の『鬼滅の刃』という漫画の主人公、竈門炭治郎というキャラクターが似たような言葉を発言しているのが印象に残っています)

 マックス・プランク研究所から出た論文では、「出生の順番は性格に関係ない」という結論が出ました。

 これは1万人以上のデータを調べた観察研究で、生まれ順とビッグファイブ(正確性の高い性格分類)の関係を調べたものです。

 その結果は明確で、どのパーソナリティ特性を取っても、生まれ順で性格が変わるような事実は確認されなかったそうな。

 ちなみに、この実験では他にも、人生の満足度、他人への信頼、リスク性向、忍耐力、政治的な好みなどもチェックしましたが、いずれも生まれ順との相関は見つからなかったようです。

 この問題は2015年のメタ分析でも言われてたことで、「生まれ順の研究は食い違いが多すぎて信頼度が低い」という結論がでました。

 その点、今回紹介する研究は統計処理がキチンとしており、信頼がおけるのではないかと思います。

 この「出生順が性格に影響する」という俗説が広まった理由について、研究チームは次のように述べています。

 初めて育てる子供が大泣きした場合、母親は「この子は不安傾向が高いのかもしれない」と思う可能性が高い。しかし、次に生まれた子供が大泣きした場合、母親はすでに子育てに慣れているため、「赤ちゃんとしては普通だな」と解釈するだろう。

 つまり、生まれ順で性格が違ってくるのではなく、育てる側の意識が変わっただけじゃないのか?、という話です。

弱い繋がりは就職・転職でも役立たない

 「弱いつながり」という言葉をご存じでしょうか?

 社会学者のマーク・グラノヴェターが「弱いつながりの強さ」という論文で提唱した理論で、簡単に言えば「新しい職を探すときは、たまに会うぐらいの友人に頼ったほうが役に立つ」という現象を指します。

 グラノヴェターは過去5年内に転職したビジネスマンにインタビュー調査を行い、「次の仕事を探すためにもっとも役に立った情報源は何か?」を調べ上げました。

  すると、 大半の人は友人や知人を介して転職の情報を得ており、さらにそのうちの85%は、もとの職 場の外で知り合った「弱いつながり」を使って転職に成功していたのです。

  「弱いつながり」が成功に結びつきやすい理由はわかりやすいでしょう。

 親友や同僚のような「強いつながり」を持つ人たちは生活環境が近いケースが多く、そのぶんだけ既知の情報しか入ってこなくなります。

 一方で飲み会でたまに会う人や遠い親戚 などは自分とは違う生活をしている可能性が高いため、未知の仕事に関する情報が入ってきやすくなるわけです。

 この研究結果はまたたくまに世界に広がり、ビジネスの世界に大きな影響を与えました。

  いまでは日本の転職ワークショップなどでも弱い人脈の重要性を示す言葉として使われる ケースがあり、「異業種交流会やSNSを使い「なんとなくの知り合い」を増やそう」といったアドバイスが喧伝される場面も見かけたことがあるのではないでしょうか?

 しかし、「弱いつながり」が有名になりすぎたせいか、その後の研究でいくつかのアップデートが加わったことはあまり知られていません。

 グラノヴェターの研究は1970年代の初めに行われたものであり、現在の求職市場には当てはまらない面も少なくないのです。

 代表的な研究として、人類学者のイラナ・ガーションが2014年に行った調査を見てみましょう。

 ガーションはグラノヴェターの調査と同じように複数のビジネスマンから380の転職事例を集めて、「弱いつながり」は現代でも重要なのかを再検証しました。

 その結果は、以下のようなものです。

  • 「弱い結びつき」が職探しに役立ったケースは全体の1%だった
  • 転職に成功した人の60%は、親友や同僚などの「強いつながり」のほうが役に立ったと回答した人

 人とのつながりが大事なのはいまも昔も変わらないものの、現代では親友・同僚・上司 のように身近な他人のほうが仕事探しには役立つようです。

 このような変化が起きた理由 は様々ですが、もっとも大きな原因は「情報ツールの発達」でしょう。

 かつての仕事探しでは新聞広告や求人誌を当たるしかなく、このような状況では「いか に知らない情報を手に入れるか?」が成否を分けました。

 ところが現代では求職サイトや企業の公式サイト等から容易に情報が手に入ります。

 おかげで職探しの効率が大いに上がった一方で、新たに次の問題が出始めています。

 選択肢が多すぎるせいで目移りし、バイアスに飲み込まれやすくなる。

 同じ仕事に大量の応募が殺到するため、ライバルとの差別化を計るのが難しい。

 これらの現代的な問題を解決するには、「強いつながり」に頼るのがベストです。

 親密な相手ほどこちらのバイアスを見抜く能力が高いのは先にも見たとおりですし、同僚や過去のクライアントからうまく推薦をもらえれば、大量の競合者のなかから飛び抜けた存在にもなりやすいでしょう。

 その意味では、求職サイトや転職エージェントを当たる前に、まずは親しい同僚や上司、クライアントなどに相談するほうが、職探しの成功率は格段に高くなります。

コラム1:やり抜く力(グリット)の問題点

 ライトな心理学書を読んでると、「グリット」という用語が出てくることもあるかと思います。

 心理学の用語としては「忍耐力」・「意志力」・「やり抜く力」・「長期的な目標へ向かう情熱」といような意味も含んでいるため、一言で表すのは意外と難しい概念です。

 心理学・自己啓発書で有名な「成功する子 失敗する子」・「モチベーション3.0」・「究極の鍛錬」にも取り上げられており、「成功のためには知性や創造性よりもグリットが重要である」という点が強調されています。

 そして「グリット」のネタ元となるのが2007年の論文で、学生や陸軍学校の生徒を対象にグリットの有効性を調べた研究です。

 この調査を行ったアンジェラ・リー・ダックワース博士は以下のようなことを述べています。

専門職で成果を残すためには、知性の高さが重要だ。しかし、成功のためには、もっと必要な能力があることは知られていない。われわれは、その大事な能力の1つである「グリット」について調査した。

グリットとは、忍耐力や長期目標を「やり抜く情熱」のことだ。グリットはIQの高さとは関係がないが、性格のビッグファイブにおける「誠実性」と高い関連があった。IQや性格よりも、グリットは成功の可能性を予測する良い指標になりえる。

これは、困難な目標を達成するためには、才能だけではなく、個人の能力を集中して持続できるほうが大事だということを示している。

 要約すると、何度も試せば試すほど成功の確率は高くなるという、比較的当たり前のことを言っている研究です。

 またグリットを高める方法について、上記の論文を手がけたアンジェラ・リー・ダックワース博士は次のようなことも述べています。

これまで聞いた中で、子どものやり抜く力を育てるのに一番よいのは「成長思考」と呼ばれるものです。スタンフォード大学のキャロル・ドウェックが 見出したもので、成功思考とは、学習する能力は固定しておらず、努力によって変えられると信じることです。

 この「成長思考の重要性」については、「やってのける」で有名なハイディ・グラント・ハルバーソン博士も推奨しています。

つねに「より良いゴール」を目指していれば、絶対に負けることはない。

なにごとにおいても、スキルを学ぶつもりで挑むのが大事だ。そうすれば、ミスや失敗を受け入れる余裕が生まれ、いかなる問題が起きてもモチベーションを保つことができる。

「より良いゴール」を目指す人たち(例:試験を「新しい問題解決のスキルを学ぶチャンス」としてとらえる)は、どんな誘惑にも影響されないしズルもしない。どんなに道のりが困難でも、つねにやる気を高めて上手くやるからだ。

 ですが、グリット自体が新しい概念であるため、「後から伸ばせる能力なの?」・「本当に成功の予測力があるのか?」など不明な点が多いという問題があります。

 そこでひとつ参考になるのがロンドン大学の研究で、16才の双子4,500人を対象に、全員にグリット検査表をわたして、「私はどんな障害でもくじけない」や「2ヶ月〜3カ月以上かかるプロジェクトに集中するのは難しい」といった質問に答えてもらいました。

 さらに全員の性格(ビッグファイブ)を計測し、GCSE(イギリスの統一試験)の点数とくらべたところ、以下のようなことが分かりました。

  • ビッグファイブは成績の6%を説明できる
  • グリットは成績の0.5%しか説明できない

 要するに、グリットの有無と学校の成績は関係がかなり薄いということが分かりました。

 今回の調査を行った研究者は以下のようなことを述べています。

今回の実験では、グリットを調べても学業の達成レベルは測れないことがわかった。

 従来のグリット研究にとって不利な結果が出てしまいましたね。

 さらに指摘されているのが以下のような点です。

  • グリットはビッグファイブと同じぐらい遺伝の要素が大きい
  • 「グリットの高さ」は、ビッグファイブの「誠実性の高さ」とほぼ被っている

 つまりグリットが高い人は自動的に誠実性も高いので、「そもそもグリットの概念は成り立たないのでは?」ということになります。

 さらにアイオワ州立大学の論文では、過去に出たグリット論文から質が高い88件を選んでまとめた調査が行われました。

 まずは著者の結論から述べると以下のようになっています。

全体的に見れば、グリットは一般的に言われるよりも重要ではない。そして、私たちがすでに知っている以上のことを理解する役にも立たない。

 では、なぜアイオワ州立大学がここまで断定しているかというと、以下のような点が判明したからです。

 まとめて計算したらグリットの影響力はすごく小さく、結果は以下のようになりました。

  • グリットの高さと学問の成績は相関が0.18
  • ただし、大学の成績については0.5

 正直、この結果には微妙の一言ですね。

 統計的には意味はありますが、話題性の割にメリット自体はあまり無いと言えます。

 さらに、グリットの世界では「軍人の見習いにグリットのトレーニングをしたら、基礎訓練をクリアする確率が上がった」という実験も過去にはありましたが、これも改めて調査したところ実際は3%程度の改善値だったようです。

 その他、グリットは「誠実性」と同じではないか?とも考察されていました。

 「誠実性」とは人間の性格特性のひとつであり、セルフコントロール能力とか、思慮深さとか、目標に向かって行動する能力とか、そういった特性を意味しています。

 そしてこちらの計算結果は以下のようになりました。

誠実性とグリットのスコアは80〜98%の相関があった

 この結果について調査を行った研究は以下のように述べています。

 グリットのテストを見てみると、その質問の大半が「誠実性」を判断する質問を重なっていることに気づく。

 つまり「グリット」は目新しいアイデアではなくて、数十年にわたって言われてきたことを「誠実性」をかっこよく表現しただけだ、という指摘がなされています。

 成功するためには幸運も大事ですし、性格や認知機能も必要だしで、「成功するにはこれだけでよい」という答えはありません。

 唯一の救いは、元ネタのアンジェラ・ダックワース博士自身も、2015年の論文で「グリットの診断テストは信頼性が低く、グリットは現実の教育などに活かせる段階ではない」と正直に述べている潔さでしょうか。

コラム2:職業適正のツールは当てにならない

・「何事もきちんとしていたいほうですか?」

・「人に何かリクエストするのは苦手ですか?」

 就職サイトにアクセスすると、このような質問を聞かれた経験があるのではないでしょうか?

 これは「エニアグラム」と呼ばれる理論にもとづく性格診断の一種で、自分に合った職業がわからずに悩む人が適職を探すためのサービスです。

 いくつかの質問に答えると「知的好奇心の強い「学者タイプ」のあなたは、専門知識を活かせる仕事が適職です」といったアドバイスが表示され、 あなたの進路に道筋を与えてくれます。

 この他にも、「RIASEC」や「マイヤーズ・ブリッグス」といった性格テストが就職サービスの定番でしょう。

  いずれも昔から存在する性格理論を採用しており、多くのユー ザーに使われていますが、果たしてこれらのテストは適職探しに役立つのでしょうか?

 結論から言えば、答えはNoです。

 残念ながら、性格診断によって適職が見つかる保証はどこにもありません。

 まずは「エニアグラム」から見てみましょう。

 「エニアグラム」は、人間を「改革する人」 や「達成する人」など9つのタイプに分類する性格診断で、神秘思想家のオスカー・イチャーソによって開発されました。

 その点で、「エニアグラム」は根本的にスピリチュアルな背景を持っています。

 だからといって必ずしも悪いわけではありませんが、このテストの問題点は、結果をいかようにも解釈できてしまう点です。

 「エニアグラム」の考え方によれば、人間はそれぞれが特有の欲望と恐怖のパターンを持ち、その種類によってパーソナリティが分かれると考えます。

 たとえば、タイプ6の「信頼を求める人」は安全を求めて孤独を嫌い、タイプ9の「平和を好む人」は安定を好んで挑戦を嫌う、といった具合です。

 すでにお気づきでしょうが、「安全」と「安定」はかなりのところまで似通った概念であり、両者をハッキリと区別することはできません。

 不安になりやすい人がこの分類を見れば、タイプ6とタイプ9のどちらについても「自分のことだ」と思ってしまうはずです。

 おもしろいもので、海外の解説サイトなどでは「エニアグラムにおいては、各タイプの説明をいかに解釈するかを学ぶ必要がある」などと書かれているケースも多くみられます。

 こうなると、やっていることはタロット占いと変わりません。

 この認識は学問の世界でも広く認められており、「エニアグラム」をまともに調べた事例はありません。

 そもそも解釈が主観的なため、再現性を重んじる科学の検証には耐えられないからです。

 ちなみに、国内のエニアグラムサイトには「スタンフォードが効果を実証」との主張も見られますが、これは明らかに間違いです。

 正しくはスタンフォード大学を修士で卒業した 作家がエニアグラムの本を出版しただけで、正式な論文出版のプロセスをふんだわけではありません。ご注意ください。

30年間、批判を浴び続けてきたMBTI

 もうひとつ日本でよく使われるのが、「マイヤーズ・ブリッグス」 (MBTI)です。

 こちらは1962年にアメリカの教育者が開発した性格テストで、人間のパーソナリティを直感、思考、感情などの8つの指標でとらえ、最終的に16のタイプに性格を分類します。

 就職支援の他にも企業研修や人材育成にも使われており、世界でも一二を争う人気の手法と言えるでしょう。(ヤリモク専用のアプリ...出会い系アプリ大手のTinderで使われている性格診断も実はMBTIです)

 しかし、その人気とは裏腹に「MBTI」は過去30年にわたって批判を浴び続けてきた手法でもあります。

 もっとも問題なのは、テストを受けるたびに違う結果が出てしまう点です。

 2000年代に行われた複数の実験によれば、「MBTI」を行った被験者のうちおよそ半分が、5週間後のテストではまったく別のパーソナリティに分類されました。

  一貫した結果が出ないのでは、適職選びに使えるはずがありません。

 このこのテストによって仕事のパフォーマンスがうまく予想できたケースも存在しておらず、 111の先行研究を調べたミシシッピ大学のレビューでは「MBTIの効果は落胆すべき結果に終わった」との結論を下しています。

 実際には「MBTIには適職を見抜く力がある」との結論を出したデータもなくはない のですが、その大半は「MBTI」を推奨する協会や団体が出資者に名を連ねており、信 頼性には大きな疑問符がつきます。

 現時点では「MBTI」を支持するデータはないと考えて差し支えないでしょう。

RIASECも予測力はほぼゼロ

 大学の就活カウンセリングなどで、「RIASEC」というテストを使ったことがある人は少なくないでしょう。

 心理学者のジョン・ホランドが考案した「職業選択理論」にもと づく適職診断で、「職業レディネス・テスト(VRT)」 「職業興味検査 (VPI)」「適職診断テスト: CPS-J」「SDSキャリア自己診断テスト」など、さまざまな亜種が生み 出されています。

 その考え方はいずれも同じで、人間の性格を「現実的」・「研究的」・「芸術的」などの6パタ ーンに分け、それぞれに最適な職業を勧めるというものです。

 たとえば、現実的な人には機械や工学が推奨され、芸術的な人には美術やデザイン系の仕事が向いていると判断され ます。

 心理学者が考案したと聞くと信憑性がありそうにも感じますが、やはり「RIAS EC」も心もとない手法のひとつです。

 もっとも決定的なのは2011年にフロリダ州立大学が発表したメタ分析です。

 研究チームは過去の「RIASEC」研究から信頼性が高い74件をまとめ、現時点ではもっとも精度の高い結果を出しました。

 その結論をひと言で言えば、「RIASECの予測力はほぼゼロ」というものです。

 たと 「RIASEC」が向いていると判断した仕事に就いたとしても、その人が本当に高い パフォーマンスを発揮できるかどうかはまったく予想できなかったのです。

「RIASEC」の成り立ちを考えれば、それも当然でしょう。

 そもそも「職業選択理論」 とは、ホランド博士が自らのカウンセラー経験のなかで「なんとなく性格と職業には関係 があるな」と考えたアイデアを体系化したものです。

 なんらかのデータを用いたわけ でもなく、あくまで一個人の思いつきにすぎません。

 それにも関わらず、いまも大学やキャリアカウンセリングの世界で実際に使われているのは、まことに謎としか言いようがない事態です。

ビックファイブテストは西洋文化にだけ有効?

 

 ビッグファイブは人間の性格を以下の5つの要素にわけた理論です。

  • 開放性=知的好奇心
  • 誠実性=まじめさ
  • 外向性=社交的
  • 調和性=やさしさ
  • 神経症傾向=不安や緊張しがち

 大量の実験で正確性が証明されていて、自分の性格を知りたい人はやっとくと良いでしょう。

 ただし、既存のビッグファイブテストは西洋人向けに開発されているので、文化的な問題もある。

 これは、学問の世界では「weird問題」として知られるもので、一流の心理学ジャーナルに掲載された論文の参加者の96%は、アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリアといった西洋の先進国に住む人たちばっかりです。

 つまり、いま私たちが知っている心理学の知見は「西洋(Western)、高学歴(Educated)、工業化(Industrialized)、富裕(Rich)、民主的(Democratic)」な人を対象に得られたものでして、これらの頭文字を取って「weird(ウィアード)」と呼んでるわけです。

 当然ながら、この問題は日本人にも当てはまり、西洋の文化から得られた知見がアジアの人間にも通じるのかは判断しづらいです。

 そこでこの問題についパリ経済学院などのチームが実際に検証をしてくれました。

 これは、weird以外の23カ国で実施されたオンライン調査や、現地の言語で実施された先行研究のデータを調べたもので、「果たしてビッグファイブの考え方はインドやブラジル、離島の人々の行動特性にも当てはまるのか?」という問題を調べています。

 残念ながら日本はふくまれていないんですが、西洋じゃない文化でビッグファイブがどこまで通じるかを調べたデータとして貴重でしょう。

 そして、その分析結果をひとことでまとめると、以下のようになります。

  • これらの国では、ビッグファイブのテストは信頼できなi

 どうやら、weird以外の国では、ビッグファイブテストの結果と、そこから予想される行動がマッチしないそうです。

・同意バイアス:weird以外の国では、「当てはまらない」よりも「当てはまる」という答えをできるだけ選ぼうとするバイアスを持っている。これは文化の違いによるのかもしれないし、たんに性格テストに慣れていないからかもしれない。

・翻訳の問題:weirdの国では「時間を守る」という概念を非常に大事にするが、weird以外の国では、それよりも出来事事態を大事にする傾向が大きい。このような差を考慮せずに、スレートに翻訳しても、うまく答えられない可能性が高くなる。また、weirdの国は、高学歴の中流階級やリベラルな人が実験に参加しやすいため、思想の違いも、性格テストの結果に影響すると考えられる。

 さらに言えば、「英単語」の性格特性を分類した生まれた概念なので、非英語圏の感覚にはフィットしない可能性が大きいのです。

・一貫性の問題:インタビュアーを介したテストの場合、面接官が異なっただけでも参加者の答えが大きく変わる現象が確認され、インタビュアーとのコミュニケーションの質が、参加者の答えに影響したものと考えられる。

 もっとも、この研究は、世界の中低所得国を対象にしたものなので、果たして日本にどこまで通用するのかは謎ですが、西洋との文化の違いや、非英語圏であることによる感覚の差は考えられるので、やはり「ある程度の誤差は出る」とは思います。

コラム3:インターン・面接は時代遅れ

 「適性」というフレーズもまた、キャリア選びの世界ではよく耳にしがちでしょう。

 この世のどこかには自分が生まれ持った能力にピッタリな仕事が存在しており、それさえ見つけてしまえば生き生きと働けるに違いない・・・・・・。

 そんな考え方のことです。

 世間的にも「適性」を重視する企業は多く、知能・興味・性格、過去の職歴といった様々な要因をチェックした上で、才能のある人材を見極めようと努力を続けています。

 世にあふれる「職業適性検査」などを受けて、「あなたは人をサポートする仕事に向いています」 や「リーダーシップを発揮できるタイプです」などと言われたことがある人も多いでしょ う。

 それでは、私たちは本当に「ピッタリの仕事」を事前に見抜くことができるのでしょう か?

 この世の中には、自分の適性を存分に活かせるような仕事がどこかに隠れているのでしょうか?

 この問題について調べた研究のなかでもっとも精度が高いのは、心理学者のフランク・ シュミットとジョン・ハンターによるメタ分析です。

 彼らは過去100年におよぶ職業選択のリサーチから質が高い数百件を選び、すべてのデータをまとめて「仕事のパフォーマンスは事前に見抜くことができるのか?」という疑間に大きな結論を出しました。

 この規模のリサーチは他になく、現時点では決定版といっていい内容です。

 論文では「事前面接」や「IQテスト」といった適性検査をピックアップし、それぞれの相関係数を求めました。

 ざっくり言えば、私たちが就職した後にその企業で活躍できるかの判断に役立つテストは存在するのかどうかを調べたわけです。

 まずは全体的な結論を見てみましょう。

 それぞれの適性検査の信頼度を数字が高い順に並べると、次のようになります。

  • 1位 ワークサンプルテスト(0.54)
  • 2位 IQテスト(0.51)
  • 3位 構造的面接(0.51)
  • 4位 ピアレーティング(049)
  • 5位 職業知識テスト (0.48)
  • 6位 インターンシップ(0.44)
  • 7位 正直度テスト(0.41)
  • 8位 普通の面接(0.38)
  • 9位 前職の経歴(0.18)
  • 10位 学歴(0.1)

・ワークサンプルテスト:会社の職務に似たタスクを事前にこなしてもらい、その成績で 評価する手法

・構造的面接:「あなたが大きな目標を達成したときのことを教えてください」のように過去のパフォーマンスに関する質問を事前にいくつか用意しておき、すべての応募者に 同じ問いかけを行う

・ピアレーティング: 一定期間だけ実際に企業で働いた後、そのパフォーマンスを社員に 判断させる。インターンシップの改良版

・正直度テスト応募者がどれだけ正直に行動するかどうかを測る性格テスト

 さて、以上の数値をふまえたうえでわかるのは、どの手法も就職後のパフォーマンスを測る役には立たない、という事実です。

 たとえば、もっとも精度が高いと評価された「ワークサンプルテスト」ですら候補者の能力の29%しか説明できず、残りは忍耐力や学習能力といった複数のスキルセットに大きく左右されます。

 テストの成績を信じて入社しても、まったく力を発揮できない可能性は十分にあるわけです。

 その他の手法についても何をか言わんやで、日本の企業でよく使われる「普通の面接」や「インターンシップ」「これまでの職業経験」などは、パフォーマンスの指標としてはほぼ使えません。

 これらの結果を鵜呑みにすると、大半の就職は失敗に終わるでしょう。

 これら既存の適性判断が役に立たないのは、私たちのパフォーマンスを左右する変数が 多すぎるからです。

 現実の世界では仕事に必要な能力は多岐にわたっており、少し考えただけでも、抽象的な思考力、創造力、同僚とのコミュニケーション力、ストレス耐性、感情のコントロール力など様々なスキルセットが頭に浮かぶでしょう。

 そのすべてを数回の面接やテストで判断できるはずもありません。

 また、組織のカルチャーによって必要なスキルが異なるのも、事前にパフォーマンスを予測できない原因のひとつです。

 たとえ同じ食品メーカーだったとしても、ある会社では 組織の和を重んじる風土を持ち、また別の会社では斬新なアイデアを求める文化を持つようなケースは普通にあるでしょう。

 さらに言えば、その力学は環境や時間の変化によっても簡単に移り変わり、リーダーが別の人間になったり部署を異動しただけでも、求められるスキルセットが違ってしまうことも珍しくありません。

 インターンシップや前職の経験でパフォーマンスが予測できないのも当然と言えます。

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