結婚を考えている人は必見!結婚のメリットとデメリット:2022年以降の変化とは?

 近年、日本における男性の未婚率は増加の一途をたどっています。また、若い男性や女性の中でも「結婚はしない」という意見を持つ人は増えたのではないでしょうか?

 そこで記事では、「本当に結婚てメリットある?」や「結婚すると大変なことが起きそう」と考えている人に向けて科学的な知見から紹介をしたいと思います。

昔は結婚が体に良かったが、現在は違う?

 昔から科学の世界では「結婚は体にいい」が常識で「既婚者ほど寿命が長い」ってメタ分析までありまして、そのほかにも、

  • 心疾患になりにくい
  • 脳卒中リスクが下がる
  • 鬱病の発症率が低い

 もちろん全てのデータが同じ結論じゃないものの、おおよそは「結婚=健康」って関連性が確認されております。

 とは言え、今度は「結婚の健康メリットは消えた」もあります。

 例えばオハイオ州立大学の研究で、1955年〜1984年のあいだに生まれた既婚者12,373人を対象に、全員の健康レベルにどんな違いがあるかをチェックしました。

 すると以下のような傾向が出ました。

  • 古い世代ほど結婚によって全体の健康レベルは上昇していた
  • しかし、近年になるほど健康効果は低下していた

 若い世代になると、独身だろうが既婚者だろうが健康メリットに差はなかったそうです。

 ただし、すべて「自己申告」のデータを使ってるんで、そこらへんの曖昧さが反映された可能性も捨てきれないとこではあります。

 これについて研究者は、『結婚による健康メリットが低下したのは、人口動態と文化の傾向が変わったせいかもしれない。』

 つまり昔とは社会の構造が変わったせいで、結婚のメリットも薄れたんじゃないかというわけです。

  • 現在では結婚相手がいないくても、他のコミュニティで人間関係をキープしやすい
  • 両親の高齢化により、配偶者がなくても経済的にやっていけるようになった
  • 昔と違って独身に対する偏見が減ってきた
  • 独身でも経済的に自立することが可能になってきた

 実際、今回のデータでも、かつては女性のほうが結婚による健康メリットが大きかったのが、近年では男性と同じレベルになったところも、過去より女性が自立しやすくなった世相を反映している可能性がありそうです。

結婚後のメンタルは年収に左右される?

 「結婚がメンタルに与えるメリットはどうなの?」ってのを調べたのがジョージア州立大学の研究で、3617人の男女が対象にアメリカ政府が行なった統計データを使って24〜89歳までを調べた上で、「結婚ってメンタルにいいのか?」という問題をチェックしました。

 そこで以下のような結論がでました。

  • この研究では、結婚とうつ病の発症率の相互関係を調べた。すると、結婚によるメンタルのメリットは、年収が平均よりも下の人にだけ確認された。

 さらに具体的には、

  • 年収が6万ドル以下の人は、結婚していたほうがうつ病の発症率は低い。しかし、年収がそれよりも高いと、結婚をしてもうつ病の発症率には変化が見られなかった。

 「人生の幸福は年収6万ドルが上限」って話がありますけど、なんと結婚がメンタルに与えるメリットも同じぐらいが上限なのかもしれないようです。

 なんでこんな現象が起きるかについては、研究チームは「結婚リソースモデル」を想定しております。

 これは「結婚のメリットって共働きによる家計の補完や、ソーシャルサポートの増加によるところが大きいのでは?」という理論のことを指しています。

 これはミシガン州立大学などの研究で、チームの問題意識はこんな感じです。

 世の中には、人間は結婚しないと幸せになれないと思っている人が多い。そこで、以下のような問題に取り組んでみることにした。

  • 人間は幸せになるために誰かをと交際する必要があるのか?
  • 一生独身で生きている人は本当に不幸になのか?
  • 結婚していてもうまくいかなかった人はどこまで不幸なのか?

 研究チームは、18歳から60歳までの男女7,532人を集めて、みんなの結婚歴をチェックした上で全体を3つのグループに分けてます。

  • 人生のほとんどを特定の相手と結婚生活を送ってきた人たち(79%)
  • 人生のほとんどを未婚で過ごしている人たち(8%)
  • 離婚、再婚、死別などの体験をしたことがある人たち(13%)

 続けて全員の幸福感を調べつつ、参加者が高齢になった時点でも「自分の人生をどれだけ幸せに感じているか?」ってところを尋ねました。

 最後にすべてのデータをひっくるめたところ、まず大きな結論は以下のようになりました。

  • 人生の幸せを預けるのは、確実な賭けではないようだ

 どうも結婚と幸福度のあいだには予想されたような相関が見られなかったみたい。

 さらに具体的なポイントを以下にまとめました。

  • 結婚している人はちょっとだけ幸福度が高いものの、別に結婚をことさら持ち上げるレベルではない
  • 離婚や死別をした人と生涯未婚の人たちの幸福度はほぼ変わらない

 これについて研究者は、『大事なのは結婚よりもマインドセットかもしれない。ひとりの人間として幸せと充実感を見つけることができれば、指にエンゲージリングがあろうがなかろうが問題はない。』

結婚するのに最適な年齢は何歳?

 ユタ大学の論文では、「2006年〜2010 年」と「 2011年〜2013 年」という2つの期間に行われたアメリカの調査データを使っております。

 これは家族の幸福や結婚生活の満足度を調べたデータで、年収や教育レベルといった変数を調整することで、「何歳に結婚したら幸せなの?」ってのが割り出せるようです。

 では、その結果は28歳〜32歳ぐらいのあいだに結婚すると、もっとも離婚リスクが低くなるようです。

 これについて研究チームは、『10代から30代までのあいだに結婚できない人は、そもそも結婚生活への適性がない可能性が高まる。たとえば、生まれつき怒りっぽい人は人間関係のトラブルが多く、結果として結婚は遅くなる。そんな人が結婚すれば、離婚率も高くなるだろう。

 28〜32歳で結婚すると幸せになるんじゃなくて、他人とうまくやっていけるような人は、この時期に落ち着く傾向が高いそうです。

 さらに研究チームは以下のようなことも言っています。

  • 『32歳を超えて結婚すると、1年ごとに離婚率は5%ずつ上昇していく』

結婚で頭がボケにくくなる?

 ミシガン州立大学の調査で、15,379人の男女を14年間にわたって追い続けた観察研究になっております。

 2000年の時点で52歳を超えていて、とくに脳機能に衰えが見られなかった人だけを選びました。

 研究はおもに電話インタビューの方法を使っていて、2年おきに全員に連絡を取って認知機能の変化をチェック。

 さらには、みんなの健康状態と人間関係のについても調べて、以下のようにパターン分けしました。

  • 離婚または別居した人
  • 未亡人になった人
  • 結婚したことがない人
  • 結婚している人

 研究チームの問題意識は以下のようです。

 『世界的に未婚の高齢者は増え続けており、その点でこの研究は重要だ。さらに人間の寿命が長くなるにつれて、私たちの結婚状態は大きな変化を見せつつある。人間の幸福において結婚生活が重要な点はいうまでもないが、これが認知の発達におよぼす影響は見過ごされてきた。「脳の機能を下げないためには人間関係が大事!」ってのはたくさんの研究で報告されてるとこなんで、当然ながら結婚も人間の脳に大きな影響をあたえるのではないか

 そして以下のような観察の結果が得られました。

  • 結婚している人は、年を取っても頭がボケにくい
  • 離婚した人は、結婚している人にくらべて2倍もボケやすい
  • 離婚の悪影響は、女性よりも男性のほうが大きい
  • 結婚したことがない人は、結婚した人に比べて42%ほど痴呆になりやすい
  • パートナーと死に別れた人は、20%ほど痴呆リスクが上がる

 しかも、どんなに経済状況が良くても離婚しちゃうと痴呆のリスクは激増するようです。

高い結婚指輪を買ったカップルは不幸になる?

 3000組の夫婦(離婚経験者もふくむ)を対象にした調査でして、結婚した年齢、婚約までの年数、子どもの有無などなど、さまざまな質問に答えてもらったあとで統計処理を行ったんですね。

 すると、その結果は高い結婚指輪を買った夫婦ほど離婚率が高かったんだそうです。

 具体的には、結婚指輪に2000〜4000ドルを使ったカップルは離婚率が激しくアップし、1000ドル以下だった場合は結婚生活が長続きする傾向がハッキリあったみたい。

 もちろん、これは高価な結婚指輪を買うこと自体が悪いわけじゃなく、見栄っ張りな人ほど結婚指輪に金を使いがちだからかもしれません。

  • 見栄っ張りが結婚する
  • 高価な指輪を買う
  • その後の生活でも見栄を張る
  • 高価な買い物が続く
  • 離婚

。特に、離婚した夫婦には、借金をしてまで結婚指輪を買ったケースが多く、そのストレスが後の生活に悪影響を及ぼすようです。

 そんなわけで、結婚指輪の価格は幸福な結婚の指標にはならず、あくまで身の丈にあったものを買うのがベストという感じです。

結婚前の同棲で別れやすくなる?

 スタンフォード大学の研究では、アメリカ疾病予防管理センターがやってる「全国家族調査」(National Survey of Family Growth)ってデータセットを使っております。

 調査の対象になったカップルの数は216455組で、1970年〜 2015年のあいだに、以下のグループがどれぐらい存在するかをチェックしたうえで、イベントヒストリー分析を行いました。

  • 結婚の前に同棲してた人
  • すぐに離婚しちゃった人

 

 そして調査から判明したことは以下のようになっています。

  • 結婚から1年後は、同棲しなかった人のほうが離婚率は高い
  • 結婚から5年を過ぎると、同棲してた人のほうが離婚率は高い
  • 結婚の前に、複数の相手と同棲した経験がある人ほど離婚率は高い

長期的に見れば、同棲のほうが危険じゃないの?という感じっすね。

こうなった理由は分かりませんが、以下のように言われています。

  • 同棲せずに結婚すると、両者の食い違いが目立って短期的には離婚しやすいから?
  • ずっと同棲していて、なかなか結婚しないようなカップルは、そもそも関係性が深くないのでは?

 また、「同棲はアリかナシか?」という問題については、まったく違う結論を出してるケースもあります。

 今のところ同棲は長期の離婚率と相関があるのかもぐらいで、同棲が積極的に良いことを示すデータはあまりなさそうです。

参考文献

・Daniel L. Carlson, Ben Lennox Kail, Socioeconomic variation in the association of marriage with depressive symptoms,Social Science Research,71,2018,Pages 85-97,https://doi.org/10.1016/j.ssresearch.2017.12.008.

・Liu, Hui et al. “Marital Status and Dementia: Evidence from the Health and Retirement Study.” The journals of gerontology. Series B, Psychological sciences and social sciences vol. 75,8 (2020): 1783-1795.

・Rosenfeld, M.J. and Roesler, K. (2019), Cohabitation Experience and Cohabitation’s Association With Marital Dissolution. J. Marriage Fam, 81: 42-58.

・Sarkisian, Natalia, and Naomi Gerstel. “Does Singlehood Isolate or Integrate? Examining the Link between Marital Status and Ties to Kin, Friends, and Neighbors.” Journal of Social and Personal Relationships, vol. 33, no. 3, May 2016, pp. 361–384.

・Tumin, D. (2018), Does Marriage Protect Health? A Birth Cohort Comparison*. Social Science Quarterly, 99: 626-643. https://doi.org/10.1111/ssqu.12425

・https://www.apa.org/news/press/releases/2016/08/single-people.pdf

・https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2501480

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