恋愛関係の構築と相性判断:科学的アプローチで理解する

 恋愛は人生における重要なテーマの一つであり、初めての恋愛には多くの人が悩みを抱えます。

 しかし、恋愛心理学や社会心理学、脳科学などの分野が進歩する中、恋愛の現象や関係性構築について科学的なアプローチが可能となってきました。

 本記事では、科学的根拠に基づく恋愛関係の構築法と相性判断法を紹介し、恋愛初心者の方々に役立つ情報を提供します。

 *人によって悩んでいる段階が違うと思うので、記事の上から順に読まず、自分に必要な段落からお読みに頂いて結構です。

恋愛はどうやって始まるのが普通なのか?

 「恋愛は情熱的な気持ちから始まる」や「恋愛は急に訪れる」など意見は様々ですが、実際のところはどうなのか?という問題を調査した研究があります。

 これはヴィクトリア大学の研究で、本論は4つの異なる調査で構成されています。

 まず概要をまとめると、最初の2つの研究で一般的な雑誌や本を分析し「恋愛がどう始まるか?」について、旧来の文献がどう考えていたのかを調査しました。

 カナダと米国で行われた7つの過去の恋愛研究から1897人分のデータを分析し「恋愛をどうスタートさせているのか?」を調査しました。

 具体的な調査法としては、恋愛関係の前のパートナーとはどんな関係でしたか?という質問を行いました。

  • (a)友人
  • (b)友人の友人
  • (c)知人
  • (d)職場が一緒
  • (e)初めて会った人
  • (f)その他

 そして、そこから得られたデータを基に分析を行った結果、以下のような事がわかりました。

 過去の雑誌や本の8割程度が「一目ぼれのような火花を散らすような恋愛」に焦点を当てており、「友人の間で少しずつ発展する恋愛」については触れていなかった。

 実際には友人関係からスタートする恋愛は多いにもかかわらず、一目ぼれを扱ってるケースが多かったそうです。

 またこの結果に対して、実際の恋愛が以下のように始まっていました。

  • 66%のカップルは友人関係から始まり、その多くは、数カ月から数年に及ぶ長期的な友人関係を経て恋愛に進むケースが多かったです。
  • 300人の大学生のみを対象とした研究では、平均して「友達の段階」から恋愛に発展するまで約22カ月かかった。また、この参加者の約半数が、「恋愛を始めるには友達からがベスト」だと回答しました
  • インターネットで知り合った場合や、ブラインドデートで知り合った場合は、恋愛の始まり方としては最悪だと評価されました。
  • LGBTQの参加者の方が、異性愛者よりも友達から始める割合が高かったが、これについては調査数が少ないのでまだわからないです。
  • 友人から交際が始まるパターンは、年齢や民族を問わず一貫していました。

 実際、周囲を観測しても「友人から始まる恋愛」の方が多い印象ですけども、データ上もそうなっているわけですね。

 さらに、ここから得られた他の知見としては、以下のようなものです。

  • 友人関係と恋愛関係の境界線は、人が思っているほど明確ではなかった。
  • 調査に参加した既婚カップルのうち3分の2は「カップルになる前に友人だった」と答えているが、多くのカップルは恋愛関係に移る前に、性的行為を行う友人(セフレ)だったとも答えていた。

 多くの恋愛関係はそこまで明確な線引きができるようではないので、現実的な話ではないかと思われます。

片思いから恋愛関係へは感情的な繋がりが大事

 恋愛においては、ルックスが良い人がモテるのは間違いないところです。

 ただ恋愛研究に関しては、以下のような点に焦点を当ててるケースが多いです。

  • 第一印象でどんな人に惹かれるのか?
  • すでにカップルとして成立した2人は、どうやればうまく関係性を続けられるか?

 つまり、恋愛のはじまりと終わりばかり注目し、第一印象から実際に付き合うまでの移行期間には注意を払ってきませんでした。

 これから紹介する研究は「最初の出会いから恋愛に移行するには何が必要なのか?」という疑問を解決するべく行われた調査です。

 研究チームは大学生の男女208名を対象に「7ヶ月にわたってどのような恋愛をしたか?」を調査し、7000件以上の恋愛レポートを集めた上で分析を行いました。

 その結果、参加者たちは、7か月の間に平均5回の片思いをして、そのうち約15%が交際に発展したようです。

 さらに分析の結果は以下のようになりました。

  •  最初に相手に惹かれてから恋愛関係に移ったカップルは、「相手の顔が好き」やら「相手の体型が好き」やら「相手と性的な欲求を満たしたい」みたいなポイントはどうでもよくなっていた。
  •  一方で、コミットした恋愛に進んだカップルは、「相手と離れていると不安になる」や「相手に自分の成功体験を話したい」といった欲望をベースにしていた。

 つまり、片思いからカップルに進むのは、お互いのルックスよりも「感情的なつながり」が必要だったようです。

 調査を行った研究チームは以下のように述べています。

 愛着と感情的なつながりの感情が芽生えたときに、学生たちは「この人は追いかける価値のある人だ」と考えるようだ。

 これは、「最も価値のある相手」を手に入れるための戦いではない。若者は、性的な魅力と感情的なつながりの両方を刺激してくれる相手を探そうとする。

 ルックスの重要性は変わらないものの、そこから恋愛に発展させたければ愛着を刺激する施策を取らないと行けないようです。

「理想の恋愛相手」は当てにならない#1

 まず、この研究の結論を先に言ってしまうと、誰しもが「理想の相手」のイメージを持っているが、実際のところは無意味ではないか?というものです。

 つまり、恋愛相手は「優しい人が良い」や「明るい人が良い」と言われても、実際に恋愛相手を選ぶ際には、特に重視していないのではないか?という点を調査したそうです。

 カリフォルニア大学は研究を行い、約600人の男女を集めて2つのテストをしました。

  • テスト1:初対面の相手とデートに行き、どれぐらい相手に惹かれたかを報告してもらう
  • テスト2:参加者に「友人や知人を5人ピックアップして、その人たちが恋愛の相手としてどれぐらいアリかを教えてください」と頼む

 この時、研究チームは、どちらのテストにおいても「あなたが恋愛の相手に求める条件を上から3つ選んでください」と参加者に指示しました。

 「頭がいい」・「優しい」などの要素をあげてもらった上で、恋愛の候補を評価させました。

 参加者が自分で選んだ「恋愛相手に求める3つの条件」に加えて、さらに「他の参加者が選んだ3つの条件」もあわせて、恋愛候補の好ましさを評価するように指示しました。

例えばAさんが「料理上手」「ルックスが良い」「面白い」の3つを理想の条件にあげていて、さらにBさんは「頭が良い」「外向的」「健康的」を条件にあげていたとしましょう。

この場合、Aさんは「料理上手」「忠実」「面白い」「頭が良い」「外向的」「健康的」という6つの条件をもとに、恋愛の候補を評価することになるわけです。

この場合、Aさんのデートの相手がもし「頭が良い」「外向的」「健康的」の3つ(Bさんの条件)を備えていたとしても、普通に考えれば恋愛の候補としては意味がないはず。

 「料理上手」・「ルックスが良い」・「面白い」の3つにこだわり続けるのかと思いきや、実際の結果は異なり、自分の理想としている人と同じぐらい、他人の理想としている人のことも「恋愛したい」と評価した。

  例えば、Aさんは本来「頭が良い」・「外向的」・「健康的」の条件を最優先してたはずが、Bさんの条件だった「料理上手」・「ルックスが良い」・「面白い」を満たす人のことも「恋愛したい」と判断したという意味になります。

 この結果から以下のようなことが考察できます。

 ポジティブな属性さえ持っていれば、誰でも好きになるのではないか?

 つまり「恋愛相手には譲れない理想がある」と思っていても、目の前に他の良い特徴を持ってる人が現れれば、初期の条件などはどうでもよくなってしまうのではないか、と。

異性は恋愛の相手選びに寛容である#2

 恋愛は失敗したくないと誰でも思いますよね。

 そのため、最高のパートナーを求めて、自然と相手選びのハードルが高くなるのが普通だと思われがちですが、「意外と恋愛相手の選び方は緩いかも?」という結論を出した研究を紹介します。

 これはウエスタン大学のレビュー論文で、過去に発表された恋愛に関する文献を調査し、「どんな感じで恋愛の相手を選んでるのか?」という問題を調べてたところ、以下のような傾向が見られました。

  •  恋愛の相手を選ぶときには、意外と選り好みをしない。たとえば、大規模なスピードデートの研究では、参加者はデートの選択肢のうち平均して40%にイエスと答えていた。
  •  多くの人は、自分に興味を示してくれた人が少しぐらい好ましくない特徴を持っていたとしても、それを積極的に見逃そうとする傾向がある
  •  急に恋に落ちることも珍しいことではなく、むしろ多くの人は相手への恋心を急激に募らせる傾向がある。
  •  一方、いったん人間関係ができあがってしまうと、多くの人はそこから離れようとはしなくなる。この傾向は、たとえふたりの関係が壊滅的なものであっても難しい。また、別れを決意したときに罪悪感などのネガティブな感情を抱くケースも多い。
  • いったん恋愛関係が解消されても、そのまま別れが定着するケースも少なく、断続的にくっついたりまた離れたりをくり返すケースが一般的だった。

 一般的に思われるよりもパートナー選びには寛容であり、一度カップルが成立すると別れるのも難くなるという心理傾向があるようですね。

恋愛で「自分の好み」は意味がない#3

 さてここまで自分の理想と実際のパートナーの特性に乖離が見られるというパターンがあることは見てきました。

 やはり心理学の世界でも「恋愛相手への好みは、本当に恋愛のパートナーに求める特性と一致しているのか?」という点は議論になる部分ですね。

 そこでカリフォルニア大学デービス校は、「恋愛に関する私たちの好みは本心を反映しているか?」という点を調査しました。

 研究チームは、1300人以上の参加者を対象に、4つの研究を実施しました。

 3つの研究では、「参加者が恋愛対象の特徴をどれぐらい好きか?」と「実際にその特徴をどの程度好きになったか?」ということを調べました。

 具体的には「自信がある人が好きだ」と言う人に対して、「恋愛相手の自信を本当に好んだのか?」という点を掘り下げました。

 すると、その結果は「ほとんど相関なし」だったようです。

 「自分がこれが好きだ」と思っていることと、「実際にこれが好きになった」の間には、弱い関係しかなかったようです。

 また従来の恋愛観では、私たちは特定の好みを持っていて、その好みに当てはまる人を好きになるという考え方という側面があります。

 しかし、この研究で主張しているのは以下のようなことです。

  • 私たちは、突然誰かを好きになる
  • その好きになった相手のなかで、特に目立つ特性を自分の好みとして採用する

 確かに「人を好きになる」とは複雑な現象で、いくつかの好みで割り切れるものでもなさそうです。

 基本的には「自分の好み」はさほど信じず、「本当に自分が幸福になれそうな相手とは?」というような観点から選ぶほうが懸命なのかもしれません。

異性と良い関係を築くポイント14選

 イリノイ大学のレビュー論文では、ブライアン・オゴロスキ博士が、1950年から1100本の論文を調査し、「良い恋愛関係を維持するために本当に必要な要素とはなにか?」を抽出しました。

 そしてオゴロスキ博士は、異性との良い関係を築くコツを14のポイントにまとめております。

1.思い込み

長続きするカップルはとりあえず幻想の世界に過ごし、現実よりもパートナーを美形で頭が良いと思ってるし、自分たちの関係を特別なものだと思っている傾向があるそうです。

良い関係のためには幻想が必要で、逆にこの幻想が消え始めたら破局の前兆なので注意だそうです。

2.ポジティブ解釈

 もしパートナーが間違いを犯したとしても、できるだけポジティブに解釈してあげる。

 たとえば、相手が突然怒鳴ってたときに「短気なヤツ」ではなく「もしかして会社で嫌なことでもあったかな」と解釈してくれるようなイメージです。

3.衝突の直接解決

 2人のあいだで問題が起きた場合は、気持ちを押し隠したり時間の解決にまかせず、つねに意識的な解消を目指す。「妥協する・しない」はどうでもいいよくて、とにかく2人の目に見える形で解決策を練ったという事実が大事。

4.許す、しかし許しすぎない

 多くの研究は、よりよい人間関係を保つには「許し」が必要なことを証明している。ただし、つねに許しを与えていれば限界点に達し、逆に相手に利用されるようになる。

 これはメンタルヘルスを損なうもとになりかねません。その境目を見極める必要がありそうですね。

5.犠牲

 恋愛関係の破局をふせぐには、ときに自分の興味や欲望を犠牲にする場面は避けられない。

 多くのデータは、ここで自己犠牲の精神を発揮できるかが分かれ目だと実証している。

 ただし、これも行き過ぎればメンタルヘルスを損なうのでバランスが大事、とのこと。

6.相互補助

 これは、パートナーが計画を立てるのを助けたり、タスクをこなすのを手伝ったり、ゴール達成をともに行うことを意味している。

7.ストレス低減

 カップルが別れるときは、仕事のトラブルや家計の危機が引き金になりがちなので、互いのストレスを低減させる方向に働きかけられるかが重要になるそうです。

 相手が慌てた時に怒鳴るのではなく、優しく解決策を尋ねてみるのも良さそうですね。

8.チーム化

 長続きするカップルほど、自分たちを個人ではなくチームとしてとらえる傾向があるそうです。

 これにより、日常的な選択が「パートナーと自分のため」という軸をベースに行われ、結果として2人の関係が長続きすることになるみたいです。

9.ランダムな親切

 自分のパートナーに対して、予定のない親切をランダムに行う。いきなりプレゼントをあげたり、自分の番じゃないのに家事を手伝ってあげるなどのランダムな親切が関係性の強化につながっていくそうです。

10.感謝の誇示

 頭のなかで感謝するだけでなく、ちゃんと目に見える形で感謝を伝えるほど、人間関係は強固になっていくそうです。とにかく相手がこちらの感謝をちゃんと認識するのがポイントだそうです。

11.祈り

いくつかの研究により、パートナーの幸せを祈ることで関係性が長続きする事実を示しているそうです。

 もちろん、これはスピリチュアルな現象ではなく、相手のために祈る作業が2人の関係性に集中できるようになるみたいです。

12.客観視

 日々の会話のなかで、定期的に「自分たちの関係がこれからどうなっていくか?」・「いま何か問題点はあるか?」・「いま自分たちはどのような関係性を築いているか?」といった議題について話し合い、2人の関係性を客観的につかんでおくと、さらに仲の良さが強固になるそうです。

13.ユーモア

 ユーモアは強固な関係性を築くために必須ですが、オゴロスキ博士いわく「あなたがいかに面白い人間かどうかではない。いかにユーモアを使って2人のストレスや緊張をやわらげられるかだ」という意味らしいです。

14.同一行動

 要は楽しいことを2人で体験するのが大事って話です。かオゴロスキ博士いわく「パートナーと一緒に余暇を楽しむとコミュニーケーションが増え、互いの役割がはっきりし、満足度が高まる」とのことです。

異性からモテる学生は何が違うのか?

 さてこの記事を見ている読者が学生なら必見の研究をここで紹介したいと思います。

 もちろん、大人の方でも参考になることが多いと思います。

 ベルゲン大学の調査では11000 人以上の学生を集めて以下のポイントを調べた上で、さらに1年後に追跡調査を実行して、恋人ができた人とできていない人に違いがあるのかを調べました。

  • どんなパーソナリティを持っているか?
  • 普段からアルコールやドラッグを使っているか?
  • 恋愛の状態はどんなものか?

 その上で分かった結果は以下のようなりました。

  • 女性の場合:ビッグファイブの外向性が高い人、神経症傾向が高い人、アルコールをたくさん飲む人、違法薬物を使用している人ほど恋愛関係に発展しやすい
  • 男性の場合:年齢が比較的高く、外向性と開放性が高い人ほど恋愛関係に発展しやすい

 この結果について研究チームいわく、以下のように全体の傾向を貫くような単一の理由があるわけじゃないことを考察しています。

 これらの特徴がなぜ恋愛関係の発達と相関しているのかは不明であり、いくつかのメカニズムが関わっているのかもしれない。

 例えば、神経症傾向は女性の魅力と相関があるのはよく言われることだし、神経症傾向が強くて独身の女性はサポートをより強く求めている可能性がある。

ルックスが悪くても、モテ要素は多い

 どうしても恋愛の話にはルックスという問題が付き物ですが、カリフォルニア大学などの研究では、以下のようことを主張しています。

  • 私たちの魅力を構成する要素には、ルックスよりも重要なポイントがある

 つまり生まれつきの顔立ちは変えられないものの、人間の見た目の魅力はそれ以外の要素に大きく影響されるので、整った顔立ちや完璧なプロポーションは、思ったほど重要ではない可能性を指摘しています。

 この研究は、大学生の男女117名を対象に、いろんなタイプの異性の写真76人分をみんなに見せたうえで、写真に映った人たちの魅力を評価してもらい、全員の感情的な反応も測定しました。

 そこから統計的な分析をし、どんな人を魅力的に感じてその理由はどこにあるのかを調査しました。

 その結果として以下のようなことが分かりました。

  • 人間の魅力と最も関係するのは、圧倒的に 「セルフケア」のカテゴリーだった。つまり、身だしなみが整っている、髪がきれい、洋服が似合っている、姿勢がいい、太っていないなどである。
  • セルフケアの重要性は男性でも女性でも変わらず、魅力的と判断された人は、シャワーを浴び、身だしなみを整え、素敵な服を選び、背筋を伸ばし、食生活を管理していた。
  • その他、「男らしさ」「女らしさ」「性格のよさ」という3つの特徴クラスターは、「セルフケア」に比べて3分の1程度しか重要視されなかった。
  • 女性が魅力的に感じる「男らしさ」は、筋肉質、肩幅、大きな胸、大きなあごといった、安定した特徴で構成されていた。
  • 一方で、男性が魅力的に感じる「女らしさ」とは、化粧をする、髪を長くする、女性らしい身のこなしなどが挙げられた。
  • 男女ともに、「幸せそう」「前向き」「親しみやすい」といった性格や態度は、すべて「やや魅力的だ」ととらえられた。

 人間の魅力をアップさせる重要な要素の大半は、簡単に変えることができると言えるんじゃないでしょうか。

 身だしなみを整え、つねに清潔さを保ち、背筋を伸ばし、シワや汚れがない衣服を身につけ、ちょっと健康を意識するだけでも、私たちの魅力度はかなり上がるようです。

 ということで、「生まれつきのルックスがダメだから何をしても無駄だ」と考えるよりは、手を加えやすい要素をできるだけ多く変えておくほうが重要でしょう。

 まずは笑顔で明るく前向きな態度をキープしていれば大きな問題はないはずです。

 また、男性は多少の筋肉は必要であり、可能な限り筋トレはやっておくのが良いでしょう。

 特に肩と胸の筋肉は魅力に反映されやすいので、腕立て伏せはやっておきたいところ。

 他方で、女性はメイクで魅力を増せるので、いかに目元と唇を強調できるかに気を配るのがよいかもしれません。

 「身だしなみ等の自分で変えやすいポイントは絶対に押さえておく」という認識でいれば間違いないのです。

自分の『個性』で勝負しろ

 西洋も東洋も、どんな文化圏でも、モテる要素は共通しています。

 具体的には、社交的な性格とか、良いルックスです。

 そうなると、「モテる特徴を持たない人は絶望である」と考えてしまいそうになりますよね。

 しかし、カリフォルニア大学などの研究では、「「個性」は、実はモテの源泉である」という結論を出しています。

 まず研究チームは3つの実験を行い、以下のようなことを調べました。

  •  典型的なモテ特性を持っている人は、実際にどこまでモテるのか?
  •  それ以外の要素は不要なのか?

 つまり、美男美女や明るい人に惹かれるが、それ以外の特性はモテにつながらないのか?という点を調べたようですね。

 ここで研究者たちは3つの実験を行い、おおまかなデザインは以下のようになります。

 最初の実験:参加者たちに、「付き合う相手のなにを魅力的だと思うのか?」を尋ね、みんながデートの相手やパートナーに感じる魅力のパターンを分類。「外向的」「肉体的な優秀さ」「知的」「経済的な安定」「良い仕事に就いている」「みんなから好かれている」「公平さがある」「道徳的」「思いやりがある」など、魅力的な人が備える特性をピックアップする。

 2つめの実験:学生の参加者を集め、クラスメートの魅力を評価するように指示。「誰が魅力的で、誰が魅力的でないのか?」「同級生と比較して、どの程度ユニークな特徴に魅力を感じるか?」をチェックする。

3つめの実験:実験2と同じ内容を、友人や知人のあいだでチェックし、私たちが他人に感じる「魅力」はどのように変化するのかを調べる。

 全体的に見れば「私たちが魅力的に感じる人は、どれぐらい一致するのか?」・「私たちが魅力的に感じる特性は、ずっと変化しないのか?」などを調べている感じです。

 そして、実際にどのような結果が出たのかをまとめると、以下のようになります。

  • 初対面の相手については、「外向的な性格」「肉体的な優秀さ」に魅力を抱き、これについては参加者の意見が一致する傾向があった。
  •  また、参加者の中には、少なからず魅力のジャッジが極端な人がいた。つまり、誰にでも魅力を感じる人もいれば、誰にでも魅力を感じない人も一定数が必ずいた。
  •  しかし、「誰を恋愛のパートナーとして選びたいか?」については、おおむね意見が一致しなかった。
  •  つまり、長くつきあいたい恋愛の相手を選ぶ際には、人それぞれの異なる特徴を魅力的に感じやすい。
  •  さらに、いったん個人のユニークな特徴に感じた魅力は、時間が過ぎるとともに、どんどん重要性を増していく。

 多くの場合、肉体や性的な魅力を示す特徴に異性は惹かれやすが、実際に誰を恋人の選定には、独自の基準を採用している可能性があるそうです。

 この研究から実践的なポイントを抜き出してみると、以下のようになります。

  •   相手のジャッジ傾向を見極めるのが大事:世の中には、どんな特性にも魅力を感じる人がいれば、どんな特性にも魅力を感じない人もいる。なので、まずは相手の基準を見極めるのが大事だし、自分自身の基準が高すぎないかどうかを確認するのも重要である。
  •  初対面では「一般的な魅力」を強調するのが大事:第一印象の魅力については、おおよそみんなの意見は一致する。そのため、初対面の場面では、できるだけ見た目に気を使ったほうがいい。
  •  顔見知りの時期が長くなったら「個性」を打ち出すのが大事:一方で長期的な関係の選択においては、個性を重視していくので、一般的に言われるモテ特性の重要度は下がる。むしろ、長期的なパートナー選びにおいては、その人なりの性格の特徴や趣味、価値観を打ち出すことで、恋愛の相手として他にはない魅力を発揮できる可能性が高まる。そのため、長い目で見れば「自分の素のまま」を出し、個性的な人であることが重要だと言える。

 恋愛をもっと成功させたいのであれば、多くの人が魅力的だと認める普遍的な特徴を鍛えつつ、そこに自分なりの個性をまぶすのを意識するほうが効果的だと思われます。

長く続くか付き合い始めに見抜ける?

 実際に恋愛に発展しそうな時に、誰でも一度は考える「この関係は長く続くのだろうか?」ということについて調査を行った大学があります。

 カリフォルニア大学の研究で、「長く続く恋愛を付き合い始めに見抜くことはできるのか?」という問題を調査しました。

 いろんな年齢の800人を集めてみんなに徹底的なインタビューを行った調査で、以下のようなことを尋ねたうえで大きな傾向がないかを確かめました。

  • 過去にどんな恋愛をしてきました?
  • どんなデートやイベントをこなしました?
  • 関係性はどのように変化しましたか?

結局、恋愛の初期において、私たちが「この恋愛が長く続くかどうか?」を見分けることについては、明確なエビデンスはなく、ふたりの関係性が真剣で長期的なものなのか、カジュアルで短期的なものなのかを見抜くのはほぼ不可能だそうです。

 つまり「この恋愛は長そうだ」とか分かり始めるのは「平均で15個のイベントをこなした後」ぐらいで、そのイベントとは一緒にパーティに行ったり、初めてのキスだったり、2人のあいだで「これは大事だ」と思えるような出来事が起きた辺りからみたいです。

 どうやら初期段階で見抜くのは無理みたいです。

女性を口説くための効果的なフレーズ

 「リアルな場面で有効なフレーズはあるのか?」ってことで、ハダースフィールド大学などの研究では、以下のような点を調べました。

  • 映画、テレビ、本、インターネットなどのいろんなメディアから、40パターンの口説き文句を集める。
  • 男女の参加者に口説き文句を見せ、「男性が女性に使った場合に効果的なセリフはどれですか?」と尋ねてそれぞれのセリフの有効性を評価させる。

 その分析結果は以下のようになっています。

  • 男性の運動神経、教養の深さ、裕福さ、寛大さを強調した口説き文句が、最も女性との会話につながりやすかった
  • 単に女性をほめるような言葉や、あからさまな性的表現は、最も効果が低いと判断された。

 一般に好ましいとされる特性を強調したフレーズがよくて、むやみに相手をほめても意味がないという、常識的な結論になりました。

 そしてこの結果については、同じチームがさらに追加の検討をおこない、上記と同じ口説き文句を評価しつつ、すべての参加者に性格テストも行ってもらいました。

 その結果をまとめると以下のようになります。

  • 基本的な結果は上の調査と同じで、世間的に言われている男性のポジティブな特性(富、教養、運動神経、優しさ)を示すものが最も効果的だった。
  • このような口説き文句は、特に自意識過剰で内気で心配性な女性に効果が大きい。さらに、親しみやすく思いやりのある男性を探している女性にも、これらのセリフは魅力的に響きやすい。
  • 一方、外向的でエネルギッシュな女性は、男性にリーダーシップを求めることが多く、ユーモラスで直接的なセリフを好んだ。
  • また、性格診断の結果、攻撃的、衝動的、危険好きと判断された女性は「悪い男」タイプを好む傾向があり、あからさまな性的セリフだけでなく、直接的なほめ言葉を好む(「めっちゃ美人ですねー」のようなセリフ)。

 女性のパーソナリティによって効果的なセリフは変わってくるという結論です。

 この結果をふまえて、研究チームは以下の考察を行っています。

 口説き文句は広告であり、フィルターであり、選別装置である。男性が選ぶセリフの種類は、その男性の性格や属性を自ずと物語るし、同様に女性がどのセリフを魅力的と感じるかどうかで、その女性の性格や属性がわかる。

 つまり口説き文句は、言う側と言われる側の特性のフィルタリング装置と言えるわけで、この感覚を持ちながら、自分がどんな特性をアピールしたいのかを考えるだけでも、結果はおのずと変わってきそうです。

 簡単に言えば、相手を誘うときは、「自分が付き合いたい相手のパーソナリティ」を明確にして、それに適したワードを使う必要があるようですね。

男性を口説く効果的なフレーズ

 上の記事では男性からみた女性の口説き方ですが、今回は女性からみた男性の口説きについてです。

 「男性と仲良くなりたい女性が使うと効果的なフレーズ」についてセントメアリーズ大学などの調査で、チームはまず女性の参加者たちに「初対面の男性にどのように近づき、どんなふうな会話をしますか?」と質問し、女性たちが使ったフレーズを3つのカテゴリーに分類しました。

  • 無難なフレーズ: 「お勧めのお酒はなんですか?」「以前お会いしましたね?」「お仕事はなんですか?」「こんにちは」など、あたりさわりのないフレーズで会話を始めるパターン。
  • 直接的なフレーズ:「一緒に飲みましょう」「顔が好きです」「電話番号を教えて」など、相手に対する明確な興味を表現したフレーズを使うパターン。
  • 軽薄なフレーズ: 「一緒に座らない?」「だいぶ酔ってきたんだけど」など、あるいは性的なトーンを表現したフレーズを使うパターン。

 以上のフレーズを男性の参加者に見せて、「どのフレーズが有効ですか?」と尋ね、それぞれの有効性を評価してもらいました。

 さらには、それぞれの男性には、女性の顔写真も見せたうえで、どれぐらいの魅力を感じるかも7点満点で答えてもらったとのこと。

 これによって、どのタイプの女性が、どんなフレーズを使うと有効なのかをチェックできるわけです。

 その結果わかったのは、以下のような内容です。

  • 全体的には、女性は直接的なフレーズを使うのが最も効果的と判断された。特に、女性がデートのために男性を誘おうとしている場合に、その傾向が顕著だった。その効果は、見た目がチャラくないと思われている女性が使ったときほど高かった。
  • 軽薄なフレーズは、全体では2番目に効果的と判断された。しかし、これは女性の魅力とは関係なく、チャラそうな女性が使うと特に効果的だと評価されたことが大きな要因だと考えられる。そのため、軽薄なフレーズは、短期間の関係性を築きたいとき以外は使わないほうが賢明。
  • 無難なフレーズは、どのタイプの女性にとっても効果が低いと判断された。しかし、無難なフレーズを使う女性のルックスが魅力的で、チャラそうではないと判断される場合に限り、無難なフレーズは軽薄なフレーズよりも効果的だった。したがって、無難なフレーズは、より長期的な関係を見つけるためなら、ギリ有効だと考えられる。
  • 全体として、これらの結果は、男性が使うフレーズの効果と似ている。つまり、女性でも男性でも、より直接的な(あるいは無難な)フレーズは、より長期的な交際を求める際に使うとよい。一方、軽薄なフレーズは、より短期的な交際を求める際に使ったほうがよい。

 上記の研究をふまえると、女性がどのフレーズで男性に声をかけるべきかは、その女性の恋愛目標に依存する感じです。

 今回の研究をまとめると以下のようになります。

  • 男性と長期的な関係を築きたい女性は、直接的なフレーズを使うことでメリットを得られる可能性が大きい。
  • ただし、上記のように相手への明確な興味を表現するフレーズを使うのには不安がともなうため、拒否されてしまうとダメージが大きく、失敗に備えた感情コントロールのトレーニングは必須です。
  • また、身もふたもない話ながら、この手のフレーズは身体的な魅力が高いほうが効果的なため、自分磨きも非常に重要です。
  • 男性との短期間の交際を希望する女性は、より軽薄なフレーズが効果的かつ、よりオープンなボディランゲージを使うと効果が高まる。

 しかし、上記のフレーズはリスクを伴うので、内気な女性は無難なフレーズを使うほうが、良いと思われます。

 このアプローチは、すべての女性に有効なわけじゃないものの、性的に保守的で性格の良い女性が使うと有効だと考えられます。

 ただ、このアプローチはあくまで男性の興味を少ししかかき立てないので、基本的には「向こうからの誘いを待つ」だけの状態になりやすいです。

 したがって、恋愛市場で価値の高い男性に相に使うと効果はかなり薄い可能性があります。

不安型の愛着スタイルはモテない

 ここからは、一転して恋愛が上手く行かないような人の特徴について調査を行った研究を紹介したいと思います。

 恋愛には「愛着スタイル」というものがあり、「他人との関わり方」をベースに人間の性格を分類した理論で、人間の愛着スタイルは以下の3パターンにわかれていると言われています。

  • 安定型:他人と自分を信頼してコミュニーケーションが取れるタイプ。
  • 不安型:拒絶されたり見捨てられたりすることを頻繁に心配するタイプ。
  • 回避型:他人と距離を置いたコミュニーケーションを取ろうとするタイプ。

 この中で安定型ほど他人との良い関係を築きやすく、人生も楽になりやすいです。

 この愛着スタイルは恋愛の問題に関わることも多く、新しい研究では以下のような結果が出ているようです。

  • 他人は短時間で相手の愛着不安を正確に察知できる!
  • 愛着不安の人は、恋愛の相手として関心を持たれにくい!

 相手がコミュニケーションの不安を抱きがちかどうかは、ほんの少しの時間でもわかるわけですね。

 この研究のために、チームはアニメコンベンションで行われた8回のスピードデートのイベントから参加者を募集し、参加者は異性と13回のスピードデート(約3分)を行ったそうで、最終的には、女性74名、男性90名、計1869名のスピードデートのデータを収集したみたいです。

 この時、参加者は、スピードデートの前に愛着不安と回避を測定するテストを実施。

 さらには各スピードデートが終了した後、相手が恋愛相手として好ましいかどうかを調査しました。

 その結果を、研究チームは以下のように述べています。

 参加者はスピードデート相手の愛着不安を正確に認知していたが、愛着回避は認知していなかった。

 デートにおいては、人々は潜在的なパートナーの愛着不安を正確に判断できるようであり、相手を愛着不安だと判断するほど、恋愛相手としての興味は低下した。

 つまり3分会話しただけでも、私たちは相手の愛着不安を見抜け、その判断は恋愛のパートナー選びに大きく影響するそうです。

 ちなみに、この研究では「愛着不安が高い人は、回避傾向も高いと認識される」という傾向も見つかったそうです。

 もし恋愛でモテたいならば、なるたけ不安型は抜け出しておくべきでしょう。

恋愛で同じ失敗をする人特徴とは?

 なぜだか悪い相手に引っ掛かってしまう、そんな人を見かけたことはありませんか?

 ここで紹介するのは、「いつも恋愛で同じ失敗をする人ってどんな理由があるの?」という疑問について調査を行った研究です。

  アルバータ大学などの研究で、過去に何度か異性と親密な関係性を持ったことがある554人の男女を対象にしたものです。

 まずは全員のこれまでの恋愛遍歴を調べ、以下のポイントでチェックしました。

  • どれぐらいの満足度があったか?
  • パートナーとどれぐらいオープンに話し合ったか?
  • どれぐらいパートナーに感謝したか?
  • どんな別れ方をしてきたのか?
  • いまのパートナーとの関係はどれぐらい続くと思うか?

 そして、全てのデータをまとめて「人間の恋愛関係はどのように移行するのか?」という問題を調べました。

 問題を調べた結果、以下のことが分かりました。

 ほとんどの人は、新しい恋愛を始めても過去の恋愛と同じパターンをくり返す

 つまり前の恋人とネガティブな関係になって別れた人は、新しいパートナーとも同じ展開になるケースが非常に多いらしいです。

 もっとも、ポジティブな恋愛やネガティブな恋愛でも、2人の関係性は、時間が長くなるにつれて悪化していく。

 確かに最初のころはすばらしい気分を味わえるかもしれませんが、それはパートナーと日常的な時間を過ごしていないからに過ぎません。

 すなわち、初期の恋愛は、このような日常の枠外にあるようです。

 つまり、仲がいい2人だろうが、時間と共に満足度は下がり、口論の数も増え、感謝の気持ちも薄れていく傾向があったそうです。

 さらに研究者は以下のようなことを述べています。

 新しいパートナーができれば人間の関係性は変わるだろうが、あなた自身は何も変わっていない。そのため、次のパートナーとも同じことを繰り返す確率は高くなる。新たな愛は楽しいものだが、その関係性は過去を引きずるのだ。

 いつも恋愛で失敗をするような人は、とにかく自分が変わるしかないそうです。

 ちなみに、過去に恋愛がネガティブに終わった人は、次の恋愛はさらに悪化する傾向が強かったそうです。

恋愛でいきなり無視する人たちの特徴は?

 さて、やっとの思いで恋愛にこぎ着けたとしても、何度かデートしたのに急に連絡が取れなくなったり、親密な関係になったと思った直後に無視されたりといった経験をお持ちの方もいるかもしれません。

 ここで紹介するのは、付き合い始めて無視をする人の特徴についてです。

 これは554人と747人を対象にした2つの調査が行われ、以下のポイントを調べました。

  • 恋愛についてどんな考え方をしているか?
  • 恋愛で”いきなりの無視”をしたことがあるか?

 そして、すべてのデータをまとめたところ以下のような結果になりました。

  • 恋愛とは運命の相手を探す行為だ!と考えている人ほど、急に相手を無視する可能性が大きい
  • 恋愛とは相手と成長する行為だ!と考えている人ほど、いきなり無視する行為を否定する傾向が強い

 具体的には、「恋愛は運命である」と考えてる人たちは、そうでない人よりも恋愛を始めた時に相手を無視する可能性が31.8%ほど高いそうです。

研究チームいわく、

 運命論者は、いったんふたりの関係が「あるべき姿ではない」と判断した場合、その関係に決定的な行動をする可能性が高い。

 相手への理想が高いぶんだけ、急に恋人を無視する行動に出やすいそうです。

ヤバい相手が好きな人の性格とは?

 いつの世も「ほれっぽい人」はいますよね。

 専門的には「エモフィリア」と呼ばれる傾向で、ちょっとでも気に入った人がいると、すぐに恋愛感情を抱きやすい人のことを指します。

 恋愛にハマりやすいタイプには、「不安型」の愛着スタイルを持つ人も多いですが、こちらは「誰かと結びついてないと怖い」という動機で動くのに対して、「エモフィリア」は「この恋は確実に報われる」といった感覚に駆動されるという違いがあります。

 ある意味で恋愛に自信があるタイプです。

 エモフィリアの人は恋愛から活力を得られること自体は問題なのですが、ほれっぽさが災いして「ヤバい人間」のこともすぐ好きになる可能性が指摘されています。

 つまり恋愛感情が発生しやすいだけに、人間を見極めるセンサーが働きにくいというわけです。

 そこで行われた研究では、「ほれやすい人ほど、間違った相手にほれやすいのでは?」という仮説の検証が行われました。

最初の実験では、まず 257 人の男女 (平均34歳)にオンラインで調査を行い、「理想の恋愛相手にどんな特徴を求めるか?」と「エモフィリア度はどれぐらいか?」を質問しました。

 各自のエモフィリア度は、以下のような文章に賛成するかどうかで調べました。

  • 私は簡単に恋に落ちる
  • すぐにロマンティックなつながりを感じる
  • 恋に落ちる感覚が好きだ
  • よく恋をする
  • 恋愛に飛びつきやすい

 そこからすべてのデータをまとめた結果、エモフィリア度が高い人ほど、ダークトライアドを好きになりやすいそうです。

 ダークトライアドは、人間が持つヤバい側面を表した性格特性のことで、という3つのパーソナリティを意味しております。

  • サイコパス:共感力が低くて自分の欲望のために行動する
  • ナルシシズム:自分が大好きで自己本意に行動する
  • マキャベリズム:欲求を満たすために他人を操ろうとする

 どの集団にも必ず一定数が存在しており、それと気づいたら無闇に近づかないことをお勧めします。

 さて、さらに2つ目の研究では、185人の女性を集めて、チームが作った架空の男性たちのオンラインプロフィールを見るように指示をだし、どのプロフィールを好ましく思うのかを評価してもらいました。

ここで参加者を女性に限ったのは、一般に男の方がダークトライアドの性質を持ってることが多いからだそうです。

 その結果、こちらのテストでは以下のような傾向が確認されました。

  • エモフィリア度が高い女性は、低い人よりもダークトライアドな特性に高い評価をつけた
  • エモフィリア度が高い女性は、ほぼすべてのプロフィールに高い評価をつける傾向もあった

 エモフィリアの人たちはどんなタイプも好きになり、そのなかでも特にダークトライアドへ惹かれやすいようですね。

 ここでダークトライアドが意外とモテる理由を説明すると以下のような特徴があるからです。

  • サイコパス=なにごとにも動じない勇敢な人に見える
  • ナルシスト=いつも自信満々で頼れる人に見える
  • マキャベリスト=感情に流されず冷静な判断をする人に見える

 短期的にはかなり魅力的な人に思われやすいんです。

 もちろん、この発見にはいくつかの限界があり、「魅力的な相手」がすべて仮想をターゲットにしているため、どこまで現実世界で再現できるかは不明ではあります。


 また2番目の研究では異性愛の女性だけを対象にしているので、他の性別を組み込んだら結果が変わるかもしれません。

ヤバい奴と付き合い続ける人の特徴とは?

 そして最後はペンシルバニア州立大学の研究で、「ヤバいパートーナーと付き合い続ける人の特徴とは? 」という問題を調査しています。

 たとえば、愛情がなくて冷えきってたり、悪口ばっか行ってくるような相手と付き合ってるのに、なぜ別れない人が一定数いるのか?という点を調べたわけです。

 全体で1757人を対象にした研究で、以下のような点を調査しました。

  • 全員の愛着スタイルを調べる
  • 愛着スタイルと人間関係の満足度を比較する

 そして、調査の結果は以下の様になりました。

 ヤバいパートナーと付き合い続ける人は「不安型」で、とにかく独り身になるのを恐れている

 簡単にいえば、自分に自信がない「不安型」ほど、ダメな関係を続けてしまうってことです。

調査を行った研究者は以下のように述べています。

 不安傾向が強い人は、独り身になることを恐れ過ぎるあまり、人間関係の問題を解決する意思が強くない。そのため、幸せでない関係にも止まろうとし、似つかわしくもない相手とデートをしてしまう。

 不安型の人ってのは、とにかく孤独を恐れ過ぎるあまり、不要な関係を続けてしまんだ、と。

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