消費者を操る倒産企業の心理戦術:避けるべき落とし穴とは?

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企業の倒産は、消費者にとって不幸な結果を招くことがあります。

しかし、倒産する企業はしばしば、消費者に対して非倫理的な行為を行っていることが指摘されます。

そこで、倒産企業が消費者に対して行う心理的な手法を研究することが重要とされています。

倒産企業は、消費者の不安や恐怖心を利用して商品やサービスを販売し、儲けを上げることがあります。

このような行為は、消費者に対する損害をもたらす可能性があり、法的な問題も生じるため、消費者を守るためにも本記事で紹介するような心理に対して何かしらの対策が求められます。

選択肢が多すぎるのはダメ

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 今の世の中には様々なサービスが登場し、その種類も膨大です。

 ところが、余りにもお客に対して選択肢が多すぎる気がします。

 私が以前外食したお店も、一品一品に細かい変更が掛けられるのですが、その数が多すぎて、頼む前にそれだけで疲れてしまいました。

 そして意外にも、これは現実的な問題でもあります。

 例えばアイアンガーと社会学者のマーク・レバーは、選択肢が多すぎることのデメリットを調べました。(1)

 まず彼らは買い物客が同じメーカーの色々なジャムを試食できるように、高級スーパーの2か所で試食コーナーを設置しました。

 一方には6種類のジャム、もう一方には24種類のジャムを配置してその売り上げを見ると大きな違いが見られました。

 なんと選択肢が豊富なコーナーでは立ち寄った人の3%しかジャムを購入しなかったのに対して、選択肢が少ないコーナーでは30%もの人がジャムを購入したのです。

 これについて研究者は「選択肢があまりにも多いと、消費者はそれぞれを差別化する負担が大きくなり、決断を下すのが煩わしくなってしまうからではないか?」と考えています。

 そうなると「まぁ、いつものジャムでいいや」という風になるのが関の山。

 海外のメーカーである、プロクター・アンド・ギャンブルは洗剤から処方薬まで取り揃えている会社ですが、26種類あった売れ筋商品を15種類に減らしたところ、短期間でなんと10%の売り上げアップに繋がりました。(2)

 この様に、企業が考えている想像と実際の消費者が感じている事に差があると売り上げが伸びません。

 偶に「俺の店は醬油ラーメン一筋でやってんだ!」という店主を見かけますが、その人は消費者の心理を理解しているのかも知れませんね。

できるビジネスマンも注意している交渉で損する心理学とは?

無料の特典がマイナスになる瞬間

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 ボールペン、ティッシュ、オイル交換サービス等々、いずれも無料の特典やサービスの例ですが、理屈の上では無料の特典は人を喜ばせる筈なのに逆効果になる瞬間があります。

 社会学者のプリヤ・ラグビールは無料にすると本当にその商品に対する価値が下がるのか調べる為に実験を行いました。(3)

 

 調査対象者にターゲット商品であるリキュール類と特典である真珠のブレスレットが載っているカタログを見せました。

 対象者の内、一つのグループには無料特典として扱われている場合に、そのブレスレットをどれくらい欲しいと思うのか、どれくらい価値があるのか尋ねました。

 もう一つのグループには、単独の商品としてどれくらい欲しいと思うのか、どれくらい価値があるのか尋ねました。

 結果は、ターゲット商品の特典になっていると別個の商品として扱われた時よりも、ブレスレットに払っても良いという値段が約35%も下がっていました。

 ここから分かるのは、ある一連の商品の販売促進の為に通常は別個に売れれている商品やサービスを無料で提供するのは、マイナスの結果を生み出す可能性があるのです。

 どうしても商品を特典として付属させたいなら、「無料の○○をご提供」ではなく「お客様のご負担なしで○○万円の相当の○○をご提供」などとするのが最適でしょう。

 つまり、付属商品の価値を相手に認識させた上で提供するのは効果があるという事です。

ミスを受け止めて防止せよ

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 小中大関わらず企業というモノは、ミスをした時に謝らなければいけません。ところがこの謝罪のやり方が上手くない企業が多いのも事実です。

 社会学者のフィオナ・リーらが提唱した説では、失敗の原因を組織の内部に求める事は、一般的なイメージだけでなく収益の点から見ても有利に働くことが分かっています。

 内部の制御可能なミスが原因だとすると、その組織はそれ自体の資源と将来設計をしっかり掌握しているように見えるためです。

 またその組織は問題の原因となった点を改善するだろうと予想だれるからです。

 フィオナ・リーは簡単な実験を実施して検証しました(4)

 ある架空の会社の前年度の営業不振原因を説明した年次報告書を二種類用意して、片方には営業悪化が内部の制御可能な要因を挙げたAと、もう一方には外部の制御不可能な要因を挙げたBの報告書を見せました。

 すると報告書Aを読んだ人はBを読んだ人よりも、多くの点でこの企業を好意的に捉えていました。

 なぜそのような結果になったのでしょうか?

 これは組織であれ個人であれ、都合の悪いミスを外部の人物や要因のせいにして問題の根本から注意をそらすという対応は、問題を掌握していてさらに解決能力もあるという証明にはならないからです。

 短期的には騙すことが出来ても、長期的には露見してより非難の的になるのは明白です。

 当たり前の事にように聞こえますが、自分の間違いはちゃんと認めて直ちに新しい行動計画を立て、我々には状況の掌握と正常化が可能であると示すのが最善ですが、多くの企業は批判を恐れるあまりに出来ていないのが現状なのです。

恐怖の微妙な効果

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 企業は麻薬やタバコ、予防接種に交通安全など、それらを行ったらどんな酷い事態になるのかを、嫌と言うほど写真や映像で紹介します。

 これらは、一見すると正しく人々に一定の恐怖を与えて防犯に役立てられるでしょう。しかし、この効果が裏目にでる状況があるのです。

 研究によれば、聞き手に恐怖を与えるコミュニケーション方法は、その恐怖を取り除くための行動を相手から引き出せます。

 がしかし、この原則には大きな例外があり、聞き手に恐怖を与えて危険を示してもそれを解決する具体的な方法がなければ効果を発しません。

 ハワード・レーペンタールらの実験では、学生達に破傷風の危険性を記載した公衆衛生パンフレットを読んでもらいました。(5)

 

 パンフレットは、破傷風感染の結果を示す恐ろしい画像が入った物と入っていない物を用意し、また一部の学生には破傷風予防接種の具体的な受け方を伝え、それ以外には何も伝えませんでした。

 さらに別の対照グループでは破傷風の危険性は告げづに予防接種の方法を教えました。

 結果としては、恐怖を強く訴えたメッセージを受け取った学生たちは予防接種を受ける気になりましたが、それは予め予防接種の具体的なやり方を教えてもらっている場合に限りました。

 つまり、恐怖を取り除く為の手段が明確であればあるほど、情報の遮断や否認といった心理的な対処法に頼る必要が無くなります。

 宣伝キャンペーンで言うなら、潜在顧客に対して自社の商品やサービスを使えば危険を回避できる事を訴える際には、危険を減らす為の具体的で明確な方法を一緒に伝えることが必要です。

 単に顧客の恐怖を煽るだけで自社の製品を売り込もうとすると、むしろ逆効果となり、耳を塞いでしまう可能性が高くなります。

 公共サービスの担当者であれば、喫煙や無謀な性行為、飲酒運転など危険な行動によるゾッとするような絵にして見せるだけでは足りず、同時に適切な行動プランを具体的なメッセージと共に含める必要があるのです。

終わりに

 まぁ、多少マイナーな部分もあると思いますが、そんな小さなところも重要なんだなと思って頂ければ幸いです。

参考文献 

書籍

影響力の武器 戦略編 posted with ヨメレバ スティーブ・J.マーティン/ノア・J.ゴールドスタイン 誠信書房 2016年07月15日 楽天ブックスAmazonKindle7net

影響力の武器 実践編[第二版] posted with ヨメレバ ノア・J・ゴールドスタイン/スティーブ・J・マーティン 誠信書房 2019年12月05日 楽天ブックスAmazonKindle7net

影響力の武器[第三版] posted with ヨメレバ ロバート・B・チャルディーニ/社会行動研究会 誠信書房 2014年07月10日 楽天ブックスAmazonKindle7net

論文

・(1) Iyengar, S.S., & Lepper, M. R. (2000). When choice is demotivating: Can one desire too much of a good thing? Journal of Personality and Social Psychology, 79, 995-1006.

・(2) Osnos, E. (1997). Too many choices? Firms cut back on new products. Philadelphia Inquirer, 27 September, pp. D1, D7.

・(3) Raghubir, P. (2004). Free gift with purchase: Promoting or discounting the brand? Journal of ConsumerPsychology, 14, 181-6.

・(4) Lee, F., Peterson, C., & Tiedens, L. A. (2004). Mea culpa: Predicting stock prices from organizational attributions. Personality and Social Psychology Bulletin, 30. 1636-49.

・(5) Leventhal, H., Singer, R., & Jones, S. (1965). Effects of fear and specificity of recommendation upon attitudes and behavior. Journal of Personality and Social Psychology, 2, 20-29.

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