
最近は、YouTubeなどで色々なマッチングアプリの広告が流れている気がします。
なぜ、マッチングアプリはこれほどまでに頭角を現したのでしょうか?
それは科学的に見ても、現実的な出会いよりもオンラインでマッチングした方が恋愛が長続きするという研究結果などがあるからです。
そこでこの記事では、「オンラインの出会いは本当に良いか?」や「異性とのマッチング率を上げるための科学的な方法」について解説して行きます。
オンラインの出会いは現実よりも優れている?

「オンライン上の出会いは、リアルな出会いよりも良縁にめぐまれるのかどうなのか?」という疑問はいつもありますね。
ところが「実際にはオンラインの方が有利な場合がある」という研究結果も存在します。
これはコンピュータ上で行われたシミュレーションで、研究チームは1万以上の擬似社会ネットワークをランダムに生成して、「マッチングアプリがない状態の社会」と、「マッチングアプリがある状態の社会」をシミュレートし、男女間のネットワークにどんな違いが出るかを見比べました。
つまり「男女の出会いがまだ共通の友人や職場などに限られてた時代」と「従来のネットワークを飛び越えて出会える時代」のどっちがつながりは強いのかを判断したのです。
そしてマッチングアプリを組み込む前と後のパートナー間の平均距離を測定すると、オンライン上の出会いが存在する社会のほうが男女のつながりは強くなったそうです。
また2005年と2012年の間に結婚した約19000 人を調べたところ、オンラインでパートナーと出会った人たちは、リアルで出会った人たちよりも結婚生活に満足している傾向にあり、さらに別居や離婚につながる可能性も低かったそうです。
ただし、この研究にはマッチングサービスが出資してるので、その点は注意が必要そうです。
ただ2017年に発表された別の調査でも、3009人の男女を調べたところ、オンラインで出会ったカップルのほうが、リアルで出会ったカップルよりも結婚しやすかったという報告が出ています。
まぁ、日本でも同じ傾向が確認されるか分かりませんが、「リアルよりマッチングアプリのほうが有用説」はありえる考え方だと言えるかもしれません。
マッチングサイトで効果的な口説き文句を調べた研究

ケネソー州立大学などの研究では、18歳から24歳までのTinderユーザー237人を対象に、参加者に「架空の異性プロフィールと4つの口説き文句」のうちひとつを見てもらい、その相手と長期または短期のパートナーとして付き合いたいかどうかを調べました。
ここで使われた4パターンの口説き文句は、以下のようになっています。
①シンプルなほめ言葉:「笑顔が素敵ですね」
②ユーモア+非ほめ言葉:「レーズン持ってます?あ、持ってない。 じゃあデートはどう?」
(男女の「デート」とナツメヤシの「デーツ」をかけたダジャレです。おもしろいのかは不明)
③ユーモア+ほめ言葉:「君ってテネシー出身?だって、君はここにいる人の中で唯一の10点満点だからね!」
(「Tennessee」と「10 I see」の音が似てることを使ったダジャレです。相変わらずおもしろいのか不明)
④一般的な挨拶文:「やあ、調子はどう?」
そして、全員にどの口説き文句が好きかを尋ねたら、女性は、一般的な挨拶文よりも「ユーモアだけ」または「ほめ言葉だけ」の口説き文句を好みやすかったそうです。
逆に「ユーモア+ほめ言葉」を好む女性は少ない傾向にありました。
また男性は、女性が使うフレーズには影響される、たんにTinderのプロフィールについてる写真の身体的な魅力度で相手を判断したそうです。
ということで、相手に好印象をあたえたい場合は、シンプルなユーモアか、シンプルなほめ言葉が有効らしいです。
ひとつのフレーズにいろんな要素を詰め込んじゃうと、どうも女性ユーザーは不快感を覚えるようです。
一方で、男性にフレーズは関係なく、女性の写真が唯一の予測要因だったそうです。
出会い系のプロフィールにある4つの嘘

コーネル大学の2007年の論文では、男女80件分のプロフェール情報を収集し、現実とのギャップを分析しました。
その結果、全体の90%のプロフィールには、大小様々なウソがふくまれており、例えば男性の多くが身長を偽る確率が高く、平均で1.27cm高く書きがちでした。
逆に女性の多くは体重を偽る確率が高く、平均で3.85kg軽く書きがちでした。
しかも「プロフィールのウソにはある程度の法則性がある」とのことです。
例えば、ウソの部分は表現が短いという事で「子どもが大好きです!」と書くよりも、「子ども好き」と書いてるほうがウソの可能性は高いです。
またウソの文章は否定形になりがちで、「ゲームがが上手いです」と書くよりも「ゲームは下手ではない」と書いたりします。
あとは一人称も少なくなるので、プロフェールに「私は」・「僕は」といった一人称が異常に少ないのはどこかでウソをツイてる可能性があるんだそうです。
ビッグデータの分析にもとづいた「出会い系サイト」必勝法とは

ロンドン大学による調査で、86件の「出会い系サイト」研究をベースに系統的レビューを行ったところ、出会い系サイトで成功するには、以下のポイントが重要だと分かりました。
アルファベットのaから始まるニックネームを付けることで、アルファベット順の最初に表示されやすくなるそうです。
あとプロフィールは簡潔で読みやすい文章を心がけたほうが好意をもたれやすいだけでなく、混みいった文章を書くよりも、かえって知性的に見えるそうです。
研究者は「基本的にヒトは記憶しやすく、発音しやすい文章にひきつけられる性質を持っているみたいです。
脳の処理が少なくてすむため、自然と好感度もあがるみたいです。
文章の好感度があがれば、同時にプロフィール写真も気に入られる確率が高くなる。」という事で、大体、自己紹介7割、残り3割で相手に求める条件を書くのがベストだそうです。
多くのデータを見ると、この比率が、もっとも返信率が高くなるらしいです。
印象を27%も良くするプロフィール写真の撮り方とは

他にも「出会い系のプロフィール写真は開放的な姿勢で撮れ!」という事で、カリフォリニア大学で行われた研究では、姿勢が異性への印象にあたえる影響を調べました。
まず16パターンのプロフィール写真を作り、出会い系サイトに登録し、プロフィールに使った写真は、大まかに2種類に分けました。
一つ目が開放的グループで、主に手を広げたり足を伸ばしたりする写真です。
二つ目が閉鎖的グループで主に腕を組んだり肩をすくめたりするもので、このボディランゲージの違いが、異性に与える印象をチェックしました。
すると結果は研究者の予想どおり、tinderに登録してから48時間後には約3,000人に閲覧され、中でも開放的なプロフィール写真は、異性がOKを出す確率が27%もアップしました。
さらにこの効果は写真の人間が男性でも女性でも変わらないそうです。
マッチングアプリで、人はどこを見て判断している?

たいていの人は「自分と似た人と付き合う!」みたいな結果が出てるんですよ。
多くの心理学研究によって人は、年齢、ルックスのレベル、性格など特徴が一致する相手と付きあう傾向にあることが分かっています。
そこで「マッチングアプリでも同じ現象が起きるのか?」という点を検証した調査があるため紹介します。
具体的な内容は、まず研究チームが500人のボランティアを募り、Tinderによく似たマッチングアプリを使うように指示し、全員のビッグファイブ(性格の特徴)を調べて、用意した16人の恋愛候補とマッチするかどうかを判断させました
その結果は以下のようになりました。
- 最も重要なのは年齢で、みんな自分の年齢と近い人とマッチングしやすかった。
- 性格は年齢よりも重要ではなかったものの、多くの人は、協調性と開放性が一致するプロフィールを好んだ。
- 外向性、誠実性、神経症傾向についてはマッチングが成立しなかった。
- ルックスについては、みんな意外と自分のレベルとは違う相手でもマッチングさせた。
協調性と開放性のマッチングが大事なのは様々な研究の結果で言われていること、それ以外は関係が見られなかったのがおもしろいですね。
Tinderタイプのマッチングアプリを使ったのが原因である可能性も否定できませんね。
Tinderのように写真ベースでプロフの重要度が低いアプリってのは、短期的な付き合いを求める心理が上がるので、年齢の重要性が上がり、逆にルックスの選好はゆるくなるのかもしれません。
そもそも出会い系サイトのマッチングは正しく機能している?

世の中には「独自のアルゴリズムで最高の相手を見つけます」という宣伝をしている出会い系サイトがありますね。
それに対してユタ大学とカリフォルニア大学の共同研究では「男女が惹かれ合うのかは会ってみるまで分からない」という結論を出していました。
まず実験では、機械学習アルゴリズムを使い、様々な「男女のマッチングプログラム」を作り、そこに過去の研究から「異性にモテるために必要な要素」とされる特性をマシンに入力しました。
その後、研究チームは数百人の学生たちに性格テストを行い、全員に対して「どれだけモテる特性を持っているか?」を100項目以上にわたってチェックし、続けて全員で4分間で会話する相手を変えるスピードデートをしてもらい、実際にどの男女が惹かれ合うのかを観察しました。
そこから先ほどの「カップル成立予想プログラム」を使って、参加者の特性をベースに、どれだけ正確に男女のマッチングを予測できるかを検査し、プログラムは何千回も走らせて、できるだけ正確性が高まるまで試行を重ねました。
すると、その人がどの相手を選ぶかの判断は18%ぐらいの正確さで予測可能、どの人が魅力的だと判断されるかは27%ぐらいの正確さで予測可能が、誰と誰がお互いを好ましいと思うかはまったく予測できませんでした。
つまり、どの男女が付き合うのかはアルゴリズムでも予想するのは無理のようです。
どれだけオンライン上で盛り上がったとしても、実際に会ってみないことには良く分からないと言えます。
参考文献
・Brecht Neyt, Stijn Baert, Sarah Vandenbulcke,Never mind I’ll find someone like me – Assortative mating preferences on Tinder,Personality and Individual Differences,Volume 155,2020,109739,ISSN 0191-8869,https://doi.org/10.1016/j.paid.2019.109739.
・Joel, Samantha, et al. “Is Romantic Desire Predictable? Machine Learning Applied to Initial Romantic Attraction.” Psychological Science, vol. 28, no. 10, Oct. 2017, pp. 1478–1489.
・Khan KS, Chaudhry SAn evidence-based approach to an ancient pursuit: systematic review on converting online contact into a first dateBMJ Evidence-Based Medicine 2015;20:48-56.
・Makhanova, Anastasia et al. “Relative Physical Position as an Impression-Management Strategy: Sex Differences in Its Use and Implications.” Psychological science vol. 28,5 (2017): 567-577. doi:10.1177/0956797616688885
・https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.1508932113
・https://dl.acm.org/doi/10.1145/1240624.1240697
・https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=941111