ナッツの力で若返りと脳機能向上!日常に取り入れたい最適量とは?

ナッツ類は酒の肴として食べたことがある人もいるのではないでしょうか?それ以外にも、健康目的にで定期的に摂取している人もいるかもしれません。

そこでこの記事では、「具体的にナッツ類を食べれるとどんな効果があるのか?」と考えている人に向けて科学的な視点から解説をしてきたいと思います。

ローストナッツや生のナッツは体に良い

オタゴ大学が2016年に行った実験では72人の健康な男女を対象に、ローストナッツと生ナッツの違いを調べました。

具体的には、以下の2グループに分けました。

  • 1日30グラムの素焼きナッツに塩を振って食べる
  • 1日30グラムの生ナッツを食べる

実験期間は28日間で、その後、全員の血液を検査したところ、以下のような結果になりました。

  • 生ナッツもローストナッツも同じように健康レベルが改善していた!

善玉コレステロールが増え、悪玉コレステロールが減り、ApoA1が上昇しました。

ざっくり言えば心疾患のリスクがまとめて下がったわけです。

ただし、スーパーのナッツなどは植物油脂でローストしてあるケースも多いので、かなり酸化ダメージが進んでいる可能性が多きです。お買い求めの際は、あくまで素焼きナッツをお選びください。

1日25g~50gのチョコレートの効果で気分や肌が改善する?

主食を「ナッツ」に置き換えたら体が改善する

トロント大学の実験では、二型糖尿病に悩む117人の男女を対象に全体を3つのグループに分けました。

  • フルナッツ食:パンやライスなどの穀類を、ミックスナッツに置き換える
  • フルマフィン食:全粒粉で作られたマフィンを主食として1日3食ほど食べる
  • ハーフナッツマフィン食:ミックスナッツとマフィンを半々ずつ食べる

ナッツを主食にしたグループは1日75gぐらい食べたとのことです。

マフィンにふくまれるタンパク質は、ほかのグループと同じになるように調整したそうです。

また、この実験では1日の摂取カロリーを2,000kcalに設定しています。

フルナッツグループは、ミックスナッツ以外には穀類を食べなかったそうです。

そして3カ月後、全員の血液を検査してみたところ、以下のような結果になりました。

  • フルナッツグループはHbA1c(糖尿病の指標)が大幅に改善

主食をナッツにした参加者だけ、糖尿病の症状が良くなったようです。

摂取カロリーは全員同じなので、ナッツの効果で糖の代謝が良くなったと考えることができます。

これについて研究者は、『この研究は、メインの炭水化物をナッツに置き換えることで、HbA1cと悪玉コレステロールが減ることを示した。これは心疾患のリスクも下げる可能性がある。かなりの高脂肪食だったにもかかわらず、統計的に有意なレベルで血糖値のコントロール能力が向上したのだ。

精製された糖質をとるならナッツの方がいいのかもしれませんね。

1日10gのピーナッツで脳機能が下がらない

南オーストラリア大学の研究で、4822人の中国人を対象とし、1991年から全員に認知テストを行い、記憶力・思考力・推論力などを2006年まで定期的に調べました。

そして全員の食事習慣とくらべたところ、以下のようなことが分かりました。

1日10g以上ナッツを食べると、認知機能の低下が40%ほど遅くなるかもしれません。

どうやら普段からナッツ類の消費量が多い人ほど物事をよく覚えているし、難しい問題に対する答えを思いつきやすいとのことです。

10gのナッツというとアーモンド9個分ぐらいなので、毎日の食事に取り入れるのは比較的に容易です。

これについて研究チームは、『1日10gのナッツを食べることにより、高齢者は最大で脳機能の低下を60%も食い止められるかもしれない(ナッツをまったく食べない人との比較)。これは、およそ認知の低下が2年ほど若返るのに相当する。

ちなみに、データだとどんなナッツでも認知機能の向上と結びついていましたが、もっとも多く食べられていたのはピーナッツだったそうです。

どのナッツがベストなのかはよく分かりませんが、ピーナッツの抗炎症作用や抗酸化作用はよく知られてますので、積極的に摂取してみもいいかもしれません。

ナッツのアンチエイジング効果を上げるには1日15g

オランダの健康統計を使った大規模な調査では、1986年から現在まで120000人分のデータを処理し、全員の日常的なナッツの消費量と健康の指標を比較しました。

その結果は、以下のようになりました。

1日に平均で15gのナッツやピーナッツ(片手に半分ぐらいの量)を消費する人は、驚くほど死亡率が下がっていた。ただし、それ以上の量を食べても死亡率は下がらなかいようだ。この結果は、過去に出たメタ解析とも一致する。ガンや呼吸器疾患による死亡率は、今回のデータと同じレベルのナッツで十分に下がる。

ナッツには、食物繊維・タンパク質・ミネラル・短鎖不飽和脂肪酸・多価不飽和脂肪酸・抗酸化物質が多く含まれており、このような現象が起きるのかもしれません。

というわけで、ナッツのアンチエイジング効果を最大限に引き出すには、

1日に最低10g、最大で15gをとれば問題ないようです。

ナッツをよく食べる人は頭が良くなるかも

20歳以上のカタール人1000人を、過去の健康調査データからランダムに抽出し、アンケートの回答をもとに、全員のライフスタイルと食習慣のデータを収集しました。

これに加えて、全員の病歴や健康状態などを調べたうえで、コンピュータテストで認知の平均反応時間(MRT)を測定しました。

そして以下のような結論が出ました。

  • 参加者のうち21.1%がナッツ類を週の4〜6回以上摂取していると回答した(高摂取グループ)一方、40.2%が月に1回以下の摂取だと回答した(低摂取グループ)
  • 全体として、ナッツ類の消費が多い人ほど認知の反応速度がはやく、その傾向は主に50歳以上で見られた

ナッツ類を習慣的に多く摂取すると、特に高齢者の場合は、認知機能を高めてくれるかもしれそうです。

ただMRTでしか認知機能を測定してないし、観察研究としてはサンプル数が少なめで、具体的なナッツ類の量や種類もわからないという問題があります。

痩せたければナッツに置き換えるべき

NHSっていう有名な健康調査のデータから166207人を対象にした長期の観察研究で、全員をおよそ20年以上にわたってモニタリングしました。

4年ごとに全員の体重とナッツを食べた回数を尋ね、さらにウォーキングや水泳などの運動をどれぐらい行っているのかもチェックしました。

そしてデータをまとめると、以下のような結果になりました。

  • 1年で体重が平均0.32 kgぐらい増えていた。しかし、ナッツを食べている人は長期的な体重の増加が抑えられていた
  • どんなナッツでも体重の抑制と相関していた、特にクルミを1日に半皿分ぐらい増やすと肥満のリスクが15%低下していた
  • 加工肉、精製穀物、チョコレート、ケーキなどの不健康な食品をナッツに置き換えると、4年間で0.41 kgから0.70 kgほど体重増加を抑えることができた
  • いずれの調査機関においても、1日当たりのナッツ摂取量をゼロから半皿分に増やすと、ナッツを食べない人に比べて体重が0.74 kg減り、肥満のリスクが16%減る

ちなみに、この研究でいう「半皿分のナッツ」は1日14 gぐらいです。

参考文献

・Aune, D., Keum, N., Giovannucci, E. et al. Nut consumption and risk of cardiovascular disease, total cancer, all-cause and cause-specific mortality: a systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies. BMC Med 14, 207 (2016).

・Jenkins, D.J.A., Kendall, C.W.C., Lamarche, B. et al. Nuts as a replacement for carbohydrates in the diabetic diet: a reanalysis of a randomised controlled trial. Diabetologia 61, 1734–1747 (2018).

・Li, M., Shi, Z. A Prospective Association of Nut Consumption with Cognitive Function in Chinese Adults Aged 55+ _ China Health and Nutrition Survey. J Nutr Health Aging 23, 211–216 (2019).

・Marta Guasch-Ferré, Jun Li, Frank B Hu, Jordi Salas-Salvadó, Deirdre K Tobias, Effects of walnut consumption on blood lipids and other cardiovascular risk factors: an updated meta-analysis and systematic review of controlled trials, The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 108, Issue 1, July 2018, Pages 174–187.

・Piet A van den Brandt, Leo J Schouten, Relationship of tree nut, peanut and peanut butter intake with total and cause-specific mortality: a cohort study and meta-analysis, International Journal of Epidemiology, Volume 44, Issue 3, June 2015, Pages 1038–1049.

・Tey, Siew Ling et al. “Do dry roasting, lightly salting nuts affect their cardioprotective properties and acceptability?.” European journal of nutrition vol. 56,3 (2017): 1025-1036. doi:10.1007/s00394-015-1150-4

最新情報をチェックしよう!