1日3杯のコーヒーがもたらす意外な健康効果:肝臓保護と総死亡リスク低減

起き抜けや昼食後の眠気覚ましにコーヒーを飲む人もいると思います。コーヒーには、一般的に言われているようなカフェインによる集中力アップや眠気覚まし以外も総死亡リスクを下げてくれるなどの効果があります。

そこで記事では、「コーヒーはどれくらい総死亡リスクを減らしてくれるのか?」や「何杯飲めば効果があるのか?」ということについて科学的な知見から紹介をしたいと思います。

コーヒーは1日6杯までは効果がある

2008年にハーバード大学が出した論文では、過去30年間にわたって集めてきた13万人分の健康データに統計分析を行い、ガンや心疾患などのあらゆる死因とコーヒーとの関係を調べました。

そこの結果、具体的な1日のコーヒーの量と得られるメリットは下記の通りになりました。

  • 1日に4〜5杯:ガン・心疾患・糖尿病などの死亡率が26%低下
  • 1日に2〜3杯:ガン・心疾患・糖尿病などの死亡率が17%低下
  • 1日6杯まではコーヒーの健康効果がアップ

この研究で言われている「1杯」とは、約240mlで、カフェインは約100mgです。

また全体的な統計で見ればコーヒーは体に良いですが、カフェインで悪影響が出る遺伝子を持った人いるようです。

体に合わない人が無理に飲む必要はありませんので、そこは代替として緑茶などを飲むのがいいかもしれません。

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コーヒーで死亡リスクが下がる

エジンバラ大学が、過去のコーヒー研究から218件を精査したメタ分析して、1日に3〜4杯のコーヒーを飲む人が、コーヒーを飲まない人では、どのような違いが出るかを比較しました。

そしてデータを精査した結果は、

  • 総死亡率が10%低下
  • 心疾患で死ぬリスクが19%低下
  • 癌の発症リスクが18%低下
  • 非アルコール性脂肪性肝炎のリスクが29%低下
  • 2型糖尿病のリスクが30%低下
  • 鬱やパーキンソン病、アルツハイマーにも効く可能性あり

ということで、コーヒーは肝臓系の病気にもっとも有効で、続いて肝臓癌、痛風、心疾患、白血病の予防にもなるみたい。

ただし、コーヒーの副作用も確認されており、子供の白血病、LDLコレステロールの上昇、肺癌、リウマチ性関節炎、妊婦さん、骨折(女性のみ)は注意が必要だそうです。

やっぱ、子供と妊婦さんはコーヒー を飲まないほうがいいみたい。

心疾患リスクが下がるのにLDLコレステロールが上昇する理由は分かっておりません。

まぁ、研究の大半が観察研究なので、「コーヒーが体にいい」と断定できるものでもありません。

しかし、この研究により、1日に2〜3杯ぐらい飲んでみても損はなさそうです。

コーヒーで自殺が止める?

ハーバード大学は、イギリスの国民保健サービスの統計を使い、208,501人の男女を30年にわたって追跡しました。

このデータから、全員の普段のコーヒー摂取量を抜き出したうえで、タバコや酒、運動量といった要素をコントロールしました。

その結果、1日1杯~5杯のコーヒーで、早期死亡率が明確に下がるとの結果が出たそうです。

コーヒーは、糖尿病・心疾患・神経変性疾患・自殺のリスクを下げるようです。

自殺が抑制される理由としては、コーヒーが神経のダメージにも効くからだそうです。

まだ具体的にどの成分が効いてるかは分からないですが、コーヒー中の化学物質が体にいいのは明らかなようですね。

ちなみに、以上の効果はカフェインの効果ではないようで、カフェイン抜きのコーヒーでも得られるとのことです。

肝臓のダメージが減る?

エラスムス医療センターは、ロッテルダム研究から2,400人分のデータを分析し、オランダに住む人たちを45年にわたって追いかけた観察研究を行いました。

参加者は定期的に血液テストと食事アンケートを行って、コーヒーやお茶の消費量と肝臓の健康レベルをチェック。

すべてのデータを分析したところ、コーヒーの摂取量が多い人ほど肝臓ダメージが少ない、コーヒーと脂肪肝の発症には関係がみられなかったって結果だったそうな。

この結果は、もちろん運動量やタバコの習慣といった変数は調整されております。

もちろんこれは観察研究ではありますが、コーヒーと肝臓の関係は昔から言われてたことなんで、今回の結果にも納得ですねー。

そんなわけで、肝臓の数値に問題がある方はコーヒーを飲んでみるのもいいと思うわけです。

とわ言え、「コーヒーがなんで肝臓に良いのか?」という部分は不明なので、ご注意ください。

おそらく抗酸化物質の影響かなと思いますが、いまだ謎です。

総死亡リスクが減る

コーヒーにはカフェインだけでなく、多くのポリフェノールが含まれているため、総死亡率に影響する可能性があります。

新しい研究では、スペインの成人1,567人を対象に、18年間でどれぐらいコーヒーを飲み、そして総死亡率、心血管の病気による死亡率、がんの死亡率はどれぐらいか?ということを調べました。

その結果は、

  • 1日1杯以下では総死亡リスクが27%低下
  • 1日1杯以上では総死亡リスクが44%低下
  • がん死亡リスクが59%低下
  • コーヒーと心血管の病気や死亡率との関連は認められなかった
  • カフェイン入りのコーヒーは、総死亡リスクの低下と関連していた

カフェインレスのコーヒーには関連性が認められなかったそうです。

ただし、この研究は、わりと地中海式の食事を守っているケースが多いエリアで効果が認められたので、健康な食事をしてる人にもコーヒーが効く可能性が指摘されます。

参考文献

・Azad, Banafsheh Jafari et al. “Effects of coffee consumption on arterial stiffness and endothelial function: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials.” Critical reviews in food science and nutrition vol. 61,6 (2021): 1013-1026. doi:10.1080/10408398.2020.1750343

・Esther Lopez-Garcia, Rob M. van Dam, Tricia Y. Li, et al. The Relationship of Coffee Consumption with Mortality. Ann Intern Med.2008;148:904-914. [Epub ahead of print 17 June 2008].

・Poole, Robin et al. “Coffee consumption and health: umbrella review of meta-analyses of multiple health outcomes.” BMJ (Clinical research ed.) vol. 359 j5024. 22 Nov. 2017, doi:10.1136/bmj.j5024

・Torres-Collado, Laura et al. “Coffee Consumption and All-Cause, Cardiovascular, and Cancer Mortality in an Adult Mediterranean Population.” Nutrients vol. 13,4 1241. 9 Apr. 2021, doi:10.3390/nu13041241

・Tverdal, Aage, et al. “Coffee Consumption and Mortality from Cardiovascular Diseases and Total Mortality: Does the Brewing Method Matter?” European Journal of Preventive Cardiology, vol. 27, no. 18, Dec. 2020, pp. 1986–1993

・https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/circulationaha.115.017341

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